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Channel: いづつやの文化記号
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美術で‘最高の瞬間’! 草間彌生

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    ‘自画像’(2010年 ウフィツィ美)

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    ‘No.H.Red’(1961年 東近美)

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    ‘南瓜’(1994年)

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    ‘私に愛を与えて’(2015年)

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  ‘行こう、空の彼方へ’(2014年)

先月末、TVのニュースを見ていたら興味深い展覧会が紹介された。場所は日
本の美術館ではなくて英国のマンチェスター、ここで今年94歳になるあの
草間彌生(1924~)の大規模な回顧展が7/30~8/28に開催される。
展覧会のディレクターによると草間のバルーンアートを一堂に集めたのは
はじめてとのこと。クサマは90歳をこえてなお海外でも高く評価され、幅
広い世代から注目されている。本当にすばらしい!2010年に描かれた
自画像はフィレンツェのウフィツィ美で肖像画だけを集めた回廊に飾られて
いるから、ヨーロッパで現代アーティストとして広く認知されていることは
間違いない。2011年からバルセロナのソフィア王妃アートセンターなど
世界屈指の美術館をめぐる回顧展が行われ、大きな話題となった。

草間彌生が規格外の前衛芸術家ということは耳に入っていたが、現代アート
の情報は薄く東近美にあるミニマル・アートの‘No.H.Red’しかみたことがな
かった。この状態から草間が近い存在になったのは2012年(埼玉県近美)
と2017年(国立新美)に行われた回顧展に巡り合ったから。目に入って
きた最新作はもうミニマル・アートからポップ・アート感覚の表現も取り込ん
だじつに楽しいものに進化していた。

その最たるものが立体作品の‘南瓜’やバルーンアート。黄色のカボチャが数限
りなく打たれた数限りない大小の黒の点によって圧倒的な存在感をみせて
いる。ヴァージョンがいろいろ発展し、黄色の地がシルバーになり中が空洞
のなっているカボチャも誕生した。老人になっても創作のアイデアは次々と
でてくるのだから、並みの芸術家とはものはちがう。

国立新美の広い会場が草間ワールド一色になった2017年の回顧展は驚き
の連続だった。2014年から15年にかけて描かれた作品がずらっと並ん
だが、とくに目を惹いたのが人間の顔が縦、横、逆さに出てくる‘私に愛を与
えて’と鮮やかな色面の組み合わせが美しい‘行こう、空の彼方へ’。


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