昨年、モディリアーニ展を楽しんだ大阪中之島美で情報に接した‘大阪の日本
画’展が大阪から東京に移動してきて、現在東京ステーションギャラリーで行
われている(4/15~6/11)。日本画家が集まる都市というと東京と京
都はすぐ浮かび、有名な画家の名前もずらずらっとでてくる。ところが、
大阪の日本画は馴染がなく、知っているのは金沢の出身で大阪で活躍した
北野恒富(1880~1947)とその弟子中村貞以(1900~1982)
、女流画家の島成園(1892~1970)の3人だけ。そのため、関心
はあるものの果たしていい絵に出会えるかは一抹の不安があったのが正直な
ところ。
だが、その心配は最初に北野恒富が飾られていたのですぐどこかへいった。
千葉市美で開催された回顧展(2017年)でこの画家の豊かな画才に
200%KOされたので、再会した‘宝恵籠’、‘いとさんこいさん’など10点
を夢中でみた。今回は前期(4/15~5/14)に続く後期(5/16~
6/11)に鑑賞欲を刺激する‘紅葉狩’を含む7点が新たに登場する。2度目
の出動の決定は悩ましい。
チラシをみてとても気になっていたのが貞以の‘失題’。画面の大半が大きな臀
部で占められているという構成が強いインパクトを秘めている。そして、日本
のホラー映画に出てきそうな女性の表情がなんとも不気味。これに対し、島成
園の‘祭りのよそおい’は肩の力がぬける愛らしい子ども画。下駄や草履の描
き方は女の子によくみられる光景をそのまま写しており、左の子は片方を脱い
でいる。この4人の位置関係がなかなかいい。こういうのは簡単なようでセン
スがいる。
最後の展示室は島成園だけでなくぐっとくるのは並んでいる。はっとさせるの
が吉岡美枝の‘店頭の初夏’。ぺたっとした人物描写だが、目にとびこんでくる
モダンなファッションが心をゆすぶる。瞬間的に堂本印象の絵を連想した。
最後の絵が大きなサプライズだった。それは池田遙邨(1895~1988)
の描いた大作‘雪の大阪’。広島にいるとき倉敷美であった回顧展でこの絵と遭
遇した。また、雪一色の大阪の光景がみれるとは。大収穫だった!