日本にあるお寺のシンボル的な存在である法隆寺はこれまで3回訪問したが、
一回目の修学旅行の思い出の方が強く刻まれあとの2回はいつ頃だったか
記憶がだんだんうすれている。だが、美術館で法隆寺関連の仏像などが10
年に一度くらいの頻度で披露されるため、法隆寺の物語はその都度蓄積され
ていく。一番近いところでは2014年の国宝展(東博)に‘広目天立像’と
‘玉虫厨子’が登場した。修学旅行で目に焼き付けたのが五重塔、法隆寺にやって
来たんだ、と感動した。そして、東院に建てられた八角円堂の夢殿をみたの
は成人してから。この形に大変惹かれる。
今日のニュース番組で奈良の薬師寺東塔で行われた落慶法要が報じられた。しかと情報をキャッチしてなかったが、2009年から解体修理がはじまり、12年かかった作業がようやく完了したとのこと。4/28から来年の1/15まで向かい合って立つ西塔とあわせて特別公開される。秋に関西美術館めぐりの旅を計画しているので、やりくりして奈良にも足をのぼすかもしれない。この寺はわが家では2度大きなイベントがあった。2000年、広島にいるとき平山郁夫の描いた玄奘三蔵の求法の旅をたどる‘大唐西域壁画’が完成したことで企画されたバスツアーに参加した。
もうひとつは平城遷都1300年を記念して開催された‘国宝 薬師寺展’(2008年 東博)。国宝の‘日光菩薩立像’、‘月光菩薩立像、聖観音菩薩立像はそろって出品された。これは圧巻、広いスペースにどんと展示してあるので前から後ろからじっくり鑑賞できる。現地ではこんな見方で接することはないので感激も大きかった。そして、長く伸びた髪が印象深い‘八幡三神坐像 神功皇后’(国宝)と対面したのも大収穫。
宇治にある美しい平等院鳳凰堂を訪問したのは生涯の思い出である。外からは均整のとれた鳳凰堂の姿にみとれ、中に入ると定朝のつくった傑作‘阿弥陀如来坐像’に心を癒される。こんなに気分が高揚する鑑賞体験はそうはない。また、阿弥陀如来坐像を囲むように浄土の空を飛翔する菩薩たちの姿にも吸い込まれる。ここには装飾技法の粋を集めて表現された極楽浄土の世界がある。