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Channel: いづつやの文化記号
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美術で‘最高の瞬間’! 五重塔

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Img_20230420225701   国宝 ‘醍醐寺五重塔’(平安951年)

 

Img_0004_20230420225701   国宝 ‘瑠璃光寺五重塔’(室町1442年)

 

Img_0001_20230420225701   国宝 ‘東寺五重塔’(江戸1644年)

 

Img_0002_20230420225701   国宝 ‘興福寺五重塔’(室町1426年)

 

Img_0003_20230420225701   国宝 ‘羽黒山五重塔’(室町1368~75年)

国宝の追っかけは現在も進行形だが、絵画や陶磁器などの工芸品は展覧会
で出品されることが多いので年数を重ねるとコンプリートに近づいてくる。
これに対し、仏像彫刻や建築物についてはすべての国宝に接するというのは
難しい。美術館で行われる特別展示に有名な仏像彫刻が登場することがときどきあるが、なにしろ絵と比べると大きく重量があるのでその機会は限られる。だから、いい彫刻や立派な寺、神社などの建築物を楽しみたいならそれらがある現地に出向かないとその願いは叶えられない。でも、全国を寺院巡りで駆けまわるというのは大変な時間と労力を要する。となると、鑑賞の対象をある程度絞り込んで出かけるほかない。

五重塔はターゲットにするのに値する建築物かもしれない。修学旅行で奈良
京都へ行ったとき、興福寺のシンボルとなっている五重塔をみて感動したこ
とが今でも強く体に残っている。塔の高さは50mあり東寺の五重塔の
55mに次ぐ二番目の高さを誇るが、修学旅行では東寺はコースに入ってい
ないから、大きくなって京都にでかけこの日本一の高さを実感するまでは
五重塔というと興福寺をすぐ思い浮かべることになる。

美しい五重塔をみたという印象がするのが醍醐寺の五重塔(高さ38m)。この寺にはこれまで3回くらい訪問したが、そのたびに五重塔の前で感動する。平安時代に建てられたものが今も残っていることに驚かされる。美しい姿にみえるのは塔が上にいくにつれ先細りの形になっていて安定感があるから。東寺の寸胴形よりはこのほうが惹かれる。同じことが山口市にある瑠璃光寺の五重塔でもいえる。高さは31mとびっくりするほど大きくはないが、その引き締まった軽快感が心を打つ。

狩野永徳の‘上杉本洛中洛外図’をみるため山形県の米沢市までクルマを走らせたとき、ついでに羽黒山の五重塔も見に行った。高い杉木立のなかに五重塔がひっそり佇むように建っている。高さは29メートル、純和様の手法で造られているため、華やかさはないが、長年の風雪に耐えしっかり存在している感じ。修験道の霊地、羽黒山にこんな心に沁みる五重塔があったのか!立ち尽くして眺めていた。


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