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‘大川端の夕涼’(1784年 シカゴ美)
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‘六郷の渡し’(1784年 平木浮世絵財団)
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‘美南見十二候 六月 品川の夏’(1784年 千葉市美)
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‘飛鳥山の花見’(1781~89年 東博)
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‘牛若丸と浄瑠璃姫’(1781~89年 シカゴ美)
浮世絵美人画は鳥居清長(1752~1815)と喜多川歌麿(1753~
1806)の登場によって絶頂期をむかえる。浮世絵への関心が世間並みの
ころは知名度では歌麿のほうが圧倒的に高く、清長の絵はタイトルまで覚え
ているものは一枚もなかった。清長の美人画に魅せられていくのは絵画鑑賞
が趣味になり東博に通うようになってから。ときどき展示される横長のワイ
ド画面に何人も描かれる八頭身美人の群像をみるのは大きな楽しみになった。
この健康的で明るい美人画はどうしてスーパーモデル並みの八頭身の女性な
のか、いまだにはっきりしたことはつかめてない。たとえば、‘大川端の夕涼’
では右の二人は八頭身以上もある長身でさっそうと歩いている。肉筆美人画
の人気絵師、勝川春章の描く女の頭がちょっと大きいのにくらべるとまった
く別の風景である。こうした美人画をもとめる人たちは長崎に入って来た西洋
画にみられる背の高い女性に憧れるあまり、実際は背の低い日本の女性が
突然変異を起こしたことにして大いに楽しんだのかもしれない。
2007年、千葉市で開催された‘鳥居清長 江戸のヴィーナス誕生’展はワー
ルドクラスのすばらしい回顧展だった。日本の美術館ではお目にかかったこ
とのない、2枚、3枚の続絵の傑作が続々とでてくる。シカゴ、メトロポリ
タン、ボストン、ホノルル、これは圧巻!日本の美術館からもいい絵が競う
ように並ぶ。平木浮世絵財団が所蔵する‘六郷の渡し’は背景に富士山がみえる
のでとてもいい気分になる。海外の美術館に清長のいい絵がたくさんあるの
は描かれた長身モデルが自分たちの国ではみなれた光景ということなのだ
ろう。
ジャポニスムに影響を受けたホイッスラーは‘バルコニー’(ワシントン フリ
ーア美)を描くのに揃物の‘美南見候 六月 品川の夏’と‘品海汐干’を参考にし
ている。腰を曲げた後ろ向きの女が艶めかしい。にぎやかな花見を描いた
‘飛鳥山の花見’と岩佐又兵衛が絵巻の題材にした‘牛若丸と浄瑠璃姫’も豪華絢爛
の群像画で画面の隅から隅までじっくみてしまう。