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Channel: いづつやの文化記号
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美術で‘最高の瞬間‘! 金剛力士立像

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Img_20230223224401   国宝 ‘金剛力士立像 吽形’(1203年 東大寺南大門)

Img_0002_20230223224401   国宝 ‘阿形

Img_0003_20230223224501   国宝 ‘金剛力士立像 阿形’(12~13世紀 興福寺)

Img_0001_20230223224501   国宝 ‘四天王立像 多聞天’(8世紀 東大寺戒壇堂)

Img_0004_20230223224501   国宝 ‘不動明王坐像’(839年 東寺)

Img_0005_20230223224501   国宝 ‘天燈鬼立像’(1215年 興福寺)

東大寺南大門であの巨大な‘金剛力士立像 阿形 吽形’をみたことは大仏さん
と同様に修学旅行の忘れられない思い出である。この体験によって運慶・快
慶がどんなにスゴイ仏師であったかが深く心に刻みこまれた。そのころはイ
タリアのミケランジェロのことはまだよく知らなかったので、二人のつくっ
た木彫が世界的にも誇れるものだということまで想像がおよばない。ごつい
顔をしどんと立つ筋肉粒々の金剛力士像のパワフルな姿に圧倒され、言葉を
失って眺めていた。何年たってもこの‘最高の瞬間’!は鮮やかによみがえって
くる。

興福寺にある金剛力士像は東大寺のものよりエキセントリックに怖い印象が
強い。それを感じるのは口を開いた阿形のほうで、上にあげた手と極端につ
りあげた眉で三段重ねの暴力性をむき出しにしている。この顔で威嚇された
らとてもじゃないが近寄れない。阿形に比べると同じような形でつくられた
‘天燈鬼立像’は可愛いもの。頭に二本の角をもち目が三つ、大きく開けた口は
怒鳴っているのか笑っているのか、緊張感とユーモラスな感情がないまぜに
なってしまう異形の鬼である。

東大寺戒壇堂でお目にかかった四天王立像のかっこいい姿が目に焼き付いて
いる。とくに気にっているのが‘多聞天’、驚かされるのがリアルに表現された
眉間やこみかみの微妙な起伏、そして肌の質感描写。遠くをみつめる姿は一
流の政治家や経営者の雰囲気を漂わせている。天平彫刻の白眉といわれる
四天王像をみれたのは生涯の喜び。いつか再会したい。

何年か前、東博で披露された東寺の五大明王の中尊、‘不動明王坐像’。ほかに
みられるような激しい怒りの形相はみせてないが、ぐっと歯をかみしめる顔
が強さを増幅させる。そして、剣を持つ姿もなかなかいい。


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