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Channel: いづつやの文化記号
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美術で‘最高の瞬間’! テートモダン

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  ダリの‘ナルシスの変貌’(1937年)

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  エルンストの‘セレベスの象’(1921年)

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  デルヴォーの‘レダ’(1948年)

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  ピカソの‘泣く女’(1937年)

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  ムニョスの‘ベンチで笑う人たち’(1998年)

ロンドンにおける近現代アートの殿堂となっているテートモダンは以前は
テート・ギャラリーといっていたところで(現在のテートブリテン)コレク
ションが展示されていた。このテートギャラリーへはじめて行ったのは
1982年。まだ絵画鑑賞が趣味にはなっていなかったが、3ヶ月ロンドン
に住んでいたので観光客気分で足を運んだ。

ここにはラファエロ前派やターナーなどの絵も近代絵画や現代アートと一緒
に飾られていた。でも、知らない画家が多くNYのMoMAと同じように美術
の教科書で知っている画家とシュルレアリスム絵画だけが記憶に残っている。
その数は限られているがどれも強烈なインパクトで迫ってくる絵だった。
あとで絵画に関心が湧くようになるとそれらが有名な絵であることを確認
したが、テンションの上がり方を思い出すと即納得した。

もっともスゴイ絵に思えたのがダリ(1904~1989)の‘ナルシスの
変貌’。これがシュルレアリスか、という感じ。当時はギリシャ神話にのめり
こんでいなかったので、わずかに頭に入っているナルシストの話が唯一の手
がかりだった。どうやらうずくまっている少年がナルシス、目に焼きつくの
がその腕と足、そして右のこれと呼応するように描かれている手。指は水仙
が殻をやぶりとびでてくる卵をつかんでいいる。どちらも同じように描かれ
ているのが不思議でならない。絵全体をじっくりみる余裕はなく、シュール
な感覚で表現するとナルシスの絵はこんな風になるのかという印象だけが残
った。

シュルレアリストのエルンスト(1891~976)を知ったのは‘セレベス
の象’に出会ったから。巨大なタンクのような象がどーんと真ん中に立ってお
り、右下に首のない人物がいる。こんな奇想天外な絵は忘れられない。その
後、エルンストはいろいろみたが、これが一番気に入っている。これに較べ
るとデルヴォー(1897~1994)の‘レダ’はソフトシュルレアリスムと
いう感じ。もう一点‘眠れるヴィーナス’もみた気がするが、記憶があいまい。
2018年、嬉しいことに横浜美で開かれた展覧会に出品された。

ピカソ(1881~1973)の‘泣く女’はみた瞬間、絵に引きこまれた。激
しく泣く女が目の前にいるよう。こういう場合、とばっちりを食うから近く
には寄れない。キュビスムが感情表現にこれほど効果的だというのは意外だっ
た。新しくできたテートモダンには2度でかけた。2010年、大ゴーギャン
展を楽しんだあと通常展示の部屋をまわったが、思わず足がとまったのが
ホワン・ムニョス(1953~2001)の‘ベンチで笑う人たち’。じつに楽し
いインスタレーションである。7人の東洋人がベンチに座ったり立ったりして
笑いこけている。よくみると皆同じ顔。これはおもしろい!


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