ＴＶ映画‘シャーロック・ホームズの冒険 悪魔の足’より
ブレイクの‘神の怒りから逃れるカイン’（1826年 テイト）
ＴＶ映画‘シャーロック・ホームズの冒険’の２３話‘悪魔の足’をみた。ホーム
ズが依頼される事件には相当なワルが絡むものがいくつかあるが、この話も
そのなかにはいる。ネタバレになるので詳しくは書かないが、これは殺人の
やり方がすごく巧妙に仕組まれているので新鮮な驚きがある。
仲の悪い４人兄弟の一人の男が遺産を独り占めしようと２人の兄と妹を殺そ
うと計画する。事件が起こったのはホームズが転地療養のためやって来てい
たコーンウォール。タイトルの‘悪魔の足’はそれ何？という感じだが、これは
殺害に使われた薬剤の名前‘悪魔の足の根’のこと。燃やすと強い毒性を発揮
する。西アフリカのある地方でまじない師が神の裁断用に使った。この物質
による試練をうけた原住民は発狂するか強ければ死ぬはめになる。まだヨー
ロッパでは知られていないため、これで殺人をおこなっても警察は死因を
解明できない。
この薬剤を燃焼させると毒性の物質が発生することをつかんだホームズは
犯人（この人物はアフリカ探検家で悪魔の足の根を持っていたが、ワルにこれを盗まれ愛していた妹を殺されたのでワルに復讐する）がランプで燃やした残りかすを素早く手に入れ、同じランプを町で買ってきて実際に燃やすとどんな毒が出てくるか実験する。ワトスンも部屋の扉をあけっぱなしにしてつきあう。すぐに幻覚が現れホームズは恐怖に顔をこわばらせ、過去の怖い体験がよみがえってくる。この様子が最初の４つの画像、おもしろかったのがまたブレイク（１７５７～１８２７）の絵が２つでてきたこと。美術スタッフはブレイクがお好みのようだ。右が‘ネブカドネザル’（１７９５年 テイトブリテン）で左が‘神の怒りから逃れるカイン’（１８２６年 テイトブリテン）。
日本に住んでいるとアフリカは遠き国で情報にほとんど接しないが、ヨーロ
ッパにいるとアフリカは近いなと感じることがよくある。たとえば、ロンド
ンのテイトモダンに足を運んだとき、アフリカの画家のミニ回顧展が開催さ
れていた。まったく知らない現代アーティストの絵だったが、その明るい色
彩、エキゾチックだが親しみやすい造形にぐぐっと惹きこまれた。
ホームズの物語にも南アフリカから帰って来た人が引き起こす事件がでてく
る（４話 美しき自転車乗り）。