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Channel: いづつやの文化記号
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美術で‘最高の瞬間’! 忘れられない準大画家の傑作

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  ムリーリョの‘無原罪のお宿り’(1678年 プラド美)

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 ヴァン・ダイクの‘自画像’(1622~23年 エルミタージュ美)

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 ジョルダーノの‘フィネウス一派を石に変えるペルセウス’(1680年 ナショナルギャラリー)

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 レーニの‘アタランテとヒッポメネス’(1612年 プラド美)

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  ハルスの‘ブロッケの肖像’(1633年 ケンウッド・ハウス)

美術の本に登場する画家や彫刻たちは時代々でとびぬけた才能を発揮し高く
評価された美術家であるが、誰もがダ・ヴィンチやベラスケスのようにその
名前を知られているわけではない。そういう大巨匠、あるいは人気の画家の
次に位置づけられる画家たちが描いた絵のなかで‘最高の瞬間’を体験したも
のを選んでみた。

スペイン観光のハイライトになっているプラド美でムリーリョ(1617~
1682)の最高傑作、‘無原罪のお宿り’をみたときの感激が今も忘れられな
い。でも、はじめてのプラドではムリーリョに前のめりではなかった。何度
かみているうちにラファエロの聖母子同様、この絵画が心を清め穏やかな気
持ちにさせてくれるすばらしい傑作であることがわかった。プラドの名画が
いくつも日本にやって来たが、これはまだ披露されていない。密かに夢見て
いる。

ルーベンスがあまりに偉大すぎて、割を食っているヴァン・ダイク
(1599~1641)だがとくにイギリスでは王家や貴族から肖像画の
依頼が殺到する有名な画家だった。エルミタージュに飾られている‘自画像’を
みたときはそのイケメンぶりに面食らった。本当にそうなの?よくわからない
が、本人が描いたのだからこんなカッコいい男だったのかもしれない。となる
と、デューラーと共に美男の横綱はこの二人で決まった。

ロンドンのナショナル・ギャラリーで思わず足がとまる迫力満点の絵があった。
‘フィネウス一派を石に変えるペルセウス’。描いたのはルカ・ジョルダーノ
(1634~1705)。ナポリで生まれた画家である。それまで訪問した
ヨーロッパの美術館でみたことのある画家だが、ぐっとくる作品というのは
正直言ってなかった。でも、この大作をみていっぺんにジョルダーノをみる目
が変わった。この荒々しい動きのある表現を‘バロックの王’、ルーベンスがみ
たら裸足で逃げるかもしれない。美術館の見学に来ていた子どもたちがこの絵
の前で先生から熱のこもった説明を受けていた。先生だってこんな傑作なら
喋り甲斐があるだろう。

プラドにあるグイド・レーニ(1575~1642)のギリシャ神話を題材に
した‘アトランテとヒッポメネス’の動きのある構図も目に焼きついている。そし
て、ロンドンにあるケンウッド・ハウスの自慢のコレクション、ハルス
(1582~1666)の‘ピーテル・ファン・デン・ブロッケの肖像’にも大変
惹かれている。同じオランダ人のレンブラントと比べるとハルスの感情表現は
笑いが大きなテーマ。明るくて人間性の良さそうな性格がうかがえる見事な
肖像画である。


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