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Channel: いづつやの文化記号
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パナソニック汐留美の‘ピカソ ひらめきのの原点’!

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  ‘座る女’(1949年 イスラエル博)

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  ‘海の前の女’(1939年)

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  ‘牧神と山羊’(1959年)

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  ‘貧しい食事’(1904年)

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  ‘夜、少女に導かれる盲目のミノタウロス’(1934年)

現在、パナソニック汐留美で開催中の‘ピカソ ひらめきの原点’(4/9~
6/19)をみてきた。出品されているピカソですべてエルサレムにある
イスラエル博が所蔵する自慢のコレクション。イスラエル博というと昨年
の秋、三菱一号館美で披露された印象派の絵が目を楽しませてくれた。
それから半年後、今度は20世紀の美術界の絶対的帝王ともいえるピカソ
。これまでこの博物館の作品はほとんど縁がなかったが、ゴッホ(2点)、
モネの傑作があってピカソも版画や油彩のいい絵を揃えているのだから、
博物館の格付けではトップクラスに位置づけれらるとみて間違いない。

ピカソ(1881~1973)の回顧展は西洋絵画ではキラーコンテンツ
のひとつだから、予想以上に多くのファンが集まっている。やはりピカソ
はいつでも特別な画家。広くない展示室に120点が並んでいた。版画が
中心の構成なので眼を見張らせる大きな絵はないが、白黒だけの色彩が消
えた作品の質が高いため、これを通じてピカソの画業全体の流れ、青の
時代、キュビスム、ピカソが愛した女性がモデルになった肖像画、闘牛、
ギリシャ神話を題材にした刺激的な絵を存分に楽しむことができる。

油彩で思わず足がとまったのはチラシに使われている‘座る女’。気になって
しょうがないのが緑と黄色によって鼻や目がイメージされる顔の横にみら
れる濃い緑とこげ茶の模様。イモムシを連想したり、帽子掛けのようにも
みえるが、これは髪の毛なんだろうか?こういう顔の不思議な表現ははじ
めてみた。そして、ゲルニカにでてくる牛の目を思い浮かべる‘海の前の女’
や晩年のマティスの切り紙絵が重なる‘牧神と山羊’にも惹かれる。

メインディッシュの版画や素描は数が多い。展示室に入ってすぐのところ
にお気に入りの‘貧しい食事’があった。青の時代は油彩でも版画でも1点々
心に響く。見ごたえのある‘ヴォラール連作’では‘夜、少女に導かれる盲目
のミノタウロス’を長くみていた。びっくりするのがミノタウロスの頭と腕
が異様に大きいこと。ピカソ流のギリシャ神話画は力強さと神秘性がない
交ぜになっている。


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