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Channel: いづつやの文化記号
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ア―ティゾン美の‘はじまりから、いま’!(2)

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  藤島武二の‘黒扇’(重文 1908~09年)

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  藤島武二の‘東洋振り’(1924年)

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  山下新太郎の‘読書’(1908年)

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  青木繁の‘海の幸’(重文 1904年)

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  小出楢重の‘帽子をかぶった自画像’(1924年)

美術館にたいする愛着度というのはそこでしかみれない絵画が自分の好みに
ぴったり合っていると自然と高くなる。ア―ティゾン美ならやはり青木繁
(1882~1911)のあの有名な‘海の幸’と藤島武二(1867~
1943)の女性の肖像画と強く結びついている。2020年に新装オープ
ンしたとき、たしかコレクションをどっと披露したと記憶しているが、これ
にでかけた美術ファンは今回と違うものをみているのだろうか。そうだとし
ても、それは気にならない。藤島武二と青木繁が入っているのだから言うこ
となし。

チラシに大きく載っていてコレクションの魅力を印象づけているのが藤島武
二の‘黒扇’と‘東洋振り’、ここでおやっ?とする。‘東洋振り’はア―ティゾン美
の所蔵だった?2017年、練馬区立美であった回顧展でみたときは個人蔵
となっていた。この後どこかの時点でア―ティゾンが個人から手に入れたこ
とになる。重文の2点‘黒扇’と‘天平の面影’(出品)、‘チョチャラ’(お休み)
があって横向きの名画‘東洋振り’が加わったとなると武二の殿堂として一層輝
きを放つ。

浮世絵や日本画の美人画にも洋画の女性画にも目がないが、山下新太郎
(1881~1966)の‘読書’に大変惹かれている。久しぶりの対面でちょ
っと緊張した。西洋画では読書をする女性はよく描かれる題材になっているが、
もっとも印象深いのがワシントンのナショナルギャラリーに飾ってあるフラゴ
ナールの‘読書する娘’。日本にもこんないい絵を描く画家がいることがなんだ
か誇らしい。

青木繁も‘海の幸’、‘わだつみのいろこの宮’の重文2点の揃い踏み。武二と合わ
せて全部で4点の重文作品がでてくるのは滅多にないこと。予定になかった展
覧会で作品情報がなかったのに、運のいいめぐり合わせだった。
また、小出楢重(1887~1931)の‘帽子をかぶった自画像’も嬉しい展示。
20年くらい会ってなかったら、再会を喜んでいる。この画家の回顧展をずっ
と待っているが、果たして実現するだろうか。


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