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Channel: いづつやの文化記号
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豪華すぎる‘メトロポリタン美展’!(1)

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  ラ・トゥールの‘女占い師’(1630年代)

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  カラヴァッジョの‘音楽家たち’(1597年)

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  フェルメールの‘信仰の寓意’(1670~72年)

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 プッサンの‘足の不自由な男を癒す聖ペテロと聖ヨハネ’(1655年)

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  ロランの‘日の出’(1646~47年)

今年開かれる西洋画関連の展覧会のなかで豪華すぎるラインナップで注目を
集める‘メトロポリタン美展 西洋絵画の500年’(2/9~5/30)をみて
きた。地下鉄千代田線の乃木坂駅から地上にでて入口にむかっていたら、
絵が描かれた幟の旗がひらひら揺れているのが目に入った。そこにルノワー
ルの‘海辺にて’が入っていたのでびっくりした。ええー、これがやって来た
の!‘日経おとなのOFF 2022美術展’にでてなかったじゃない。今回
出品される印象派の絵ではこれがベスト1、お見逃しなく!

見終わったあとミュージアムショップで買った図録の表紙に使われているの
がラ・トゥール(1593~1652)の‘女占い師’。チラシにも大きく載
っている。これまで運よく5回メトロポリタンを訪問したが、この絵と会っ
たのは1990年と2015年の2回しかない。だから、この絵を日本でみ
られるなんて夢のようである。しかも、カラヴァッジョ(1571~
1610)の‘音楽家たち’と一緒に飾られているのだからもう天にも昇るよ
うな気持ち。

‘女占い師’で視線が集中するのは女のようにみえる真ん中の若い男とこの
主役の若者を完全に食っている占い師の老婆。しわくちゃ顔が強烈な存在感
をみせている。そして、老婆と同じくらい気になるのが二人の間にいる女。
男の手の下で悪さをしているのを気付かれないよう横眼を使う表情がじつに
リアル。こんなに感情表現がもろにでた風俗画はそうない。ラ・トゥールに
魅せられる一番の理由がこの生な感じがする人物描写。

この二人に加えフェルメール(1632~1675)の‘信仰の寓意’まで揃
えるのだから豪華三段重ね。ヨーロッパで人気の高い3人を全部日本に出張
させるのだからメトロポリタンは太っ腹である。フェルメール大好きファン
はこれをみて東京都美に出品されている‘窓辺で手紙を読む女’にも足を運ぶ
のだろう。感動の袋が大きく膨らむにちがいない。

プッサン(1594~1665)の‘足の不自由な男を癒す聖ペテロと聖ヨハ
ネ’とロラン(1604~1682)の‘日の出’も嬉しい展示。本籍フランス、
現住所イタリアのこの二人の絵を日本でみたのは2013年のプーシキン美
展と2020年のロンドンナショナルギャラリー展くらいしか思いつかない。
2点は背景の明るい青い空と白い雲の描き方がよく似ている。


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