東京駅の八重洲側から歩いて5分ぐらいでつくブリジストン美が2020年、
名前をア―ティゾン美と変え新しい美術館として開館したのは2020年、
本来ならすぐにでも足を運んだのだが、ちょうど新型コロナウイルスの感染
が広まった年なので出かけるのがのびのびになっていた。上野の東京都美で
フェルメールの絵と再会する予定だったが、当日券では夜の6時の入場にな
ると告げられたので一緒に美術館を回った友人の提案で急遽ア―ティゾンの
コレクション展をみることになった。
展示の順番は上の5階から4階、3階へと降りていくスタイル、以前だと
常設展示の絵画の部屋があってそこをぐるっと回り、最後古代ギリシャやエ
ジプトなどの彫刻をみて終わりとなっていたが、この導線はがらっと変わっ
ており見慣れた作品がでてくるまでちょっと落ち着かなかった。嬉しい絵
が2点、目に飛び込んできた。カサット(1844~1926)の‘娘に読み
聞かせるオーガスタ’と‘日光浴(浴後)’。アメリカの美術館を訪問してすっ
かり嵌ったカサットをア―ティゾンが所蔵していたとは、日本では山形美と
東京富士美しか縁がなかったカサットがこれからはここで母子像を楽しめる。
すばらしい!
男性の肖像画でお気に入りのものが姿を現してくれた。ピカソ(1881~
1973)の‘腕を組んで座るサルタンバンク’はピカソの上級の画集に載っ
ていてもおかしくない傑作。この絵と今回はお休みしているルノワールの‘
すわるジョㇽジェット・シャルパンティエ嬢’がこの美術館の自慢の西洋絵
画である。ルオー(1871~1958)の‘ピエロ’も目に焼きついている
作品。ここには‘郊外のキリスト’といういい絵もあるので出光美、パナソニ
ック汐留美同様、ルオーとすぐ結びつく。
はじめてみたジャン・メッツァンジュの‘円卓の上の静物’に敏感に反応したの
は、この画家のキュビスムとシュルレアリスムをミックスさせたような人物
画を2018年北欧を旅行したときコペンハーゲン国立美で遭遇したから。
いつ手にいれたのだろうか。ここはザオ・ウ―キー(1920~1956)
のコレクションで知られているが、今回11点でている。もっとも魅せられ
ているのがターナーや牧谿の絵を連想させる‘07.06.85’。いい気分で
みていた。