‘カタツムリ、女、花、星’(1934年 国立ソフィア王妃センター)
‘焼けた森の中の人物たち’(1931年 ジュアン・ミロ財団)
渋谷のBunkamuraで行われている‘ミロ展’(2/11~4/17)をみてきた。
もっと早く出かけたかったが、東京都における新型コロナウイルスの感染
者の数がなかなか減らないため出動が1カ月も遅れてしまった。ここは平日
の金曜日は予約は要らないことがきいてるのか館内には予想以上の人がい
た。驚いたのは子どもを多くみかけたこと。もう春休み?ミロ(1893
~1983)が1934年に描いた‘カタツムリ、女、花、星’を母親と一緒
に来ていた小学校高学年の男の子が熱心にみており、‘あそこは顔に見える
ね’と右上のフォルムをしっかりとらえていた。これには感心した。
ミロは一生つきあっていく画家だからこれまで回顧展が開かれたときは見
逃さずにでかけてきた。5回くらいみたと思うが、会場に小さい子がいたの
は今回がはじめて。ミロの絵はシュルレアリスム絵画のなかではダリと違っ
て一見子どものいたずら書きみたいな素朴さとユーモラスなところがある
から、子どもは大人以上に楽しく反応できるかもしれない。
ミロの大きな回顧展は世田谷美で行われた2002年以来だから20年ぶ
りの開催となる。このとき出品されたバルセロナのミロ美が所蔵する‘焼け
た森の中の人物たちによる構成’がまたやって来た。これは‘カタツムリ’と比
べ線がすっきりのび、中心の塊は安定感のある三角形と円によってうまく
ミックスされているため心に強く印象づけられる。抑え気味の色使いも落
ち着いてみられる。
今回の収穫は‘女(勅使河原宗蒼風のために)’だった。‘焼けた森’をさらに
洗練させた感じでフォルムに丸みをつけたり傾かせたりして画面に動きを
生み出している。すぐビビッときた。‘ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞い
ている踊り子’はミロ展には欠かせない定番の作品、日本にあるミロでは
これが一番の傑作。黒字の背景に描かれた大作でここにはよくみると4人
が描き込まれているのがイメージできる。上の方に横に倒された人物が
いて、庭石を連想させる灰色のところには黒で縁取られた目をもつ3人が
姿をみせている。さて、誰が踊り子なのだろうか?
最後の部屋に飾ってあるインパクトのある水墨画風の作品‘絵画’にお目に
かかれたのもミロの想い出になりそう。マジョルカ島にはどう考えても縁
がないのでこうした太い黒の線が目に飛び込む大きな絵が4点も登場した
のは本当に嬉しい。Bunkamuraに拍手!