流行作家ポール・シェルダン(ジェームズ・カーン)
元看護婦のアニー・ウィルクス(キャシー・ベイツ)
先月31日、BS2で放送された映画‘ミザリー’を観た。この映画は20年位前
広島で仕事をしていたときレンタルビデオでみたが、登場する女性がとても怖い
印象が強く残っている。でも、どんなストーリーだったかまったく覚えていない。20数年前の頃は家の近くのレンタル屋によく通い週末の楽しみのひとつが映画をみることだった。もともと映画は大好きだから、名作には貪欲でこの‘ミザリー’も名作リストに載せ二重丸をつけている。怖いホラー的な映画というだけでどんな話だったか忘れているのに、名作映画DVDを手に入れるために頻繁に出かけているブックオフではこの‘ミザリー’に遭遇するのをすごく期待していた。今現在、日本映画、海外映画あわせて150本集まり、そろそろ終了してもいいかなと思うところまで揃ってきたが、‘ミザリー’はなかなか姿を現してくれない。
そんなとき、TVガイドをみていたらBS2に登場することがわかった。どこの
ブックオフに行ってもみつからないのに、NHKが上映してくれるとは。まさに
‘求めよ、さらば与えられん!’である。ジェームズ・カーンが演じる流行作家の
ポール・シェルダンがコロラドの定宿で新作を仕上げてクルマで帰る途中大雪の
ため、崖から転落し重傷を負う。ここまできてもまだ思い出せない。何をみて
いたのか?逆さになったクルマのドアを破り彼を引き出し、背負っていく太めの
女がでてくる。元看護婦のアニー・ウィルクスは家のベッドに寝かしたポールに
むかって、‘私は一番のファンよ’とやさしい言葉をかける。でました、でまし
た。名女優キャシー・ベイツ!(この映画でアカデミー賞主演女優賞を受賞)
この顔は絶対忘れない!アニーは感情の起伏が激しく、ちょっとしたことですぐ
切れる。とくに雨が降る日は恐怖度はマックスに達する。‘私は雨の日はうつ状態がひどくなるの’と低い声で言われた作家は顔がひきつるほどびびりまくる。みてる我々だって次の瞬間ポールは殺されるのではないかと思ってしまう。
作家は自分の本のファンに救われたのだから、これ以上の幸運はのぞめない
ほど運が良かった。でも、この女は狂ったストーカーだった。人気の‘ミザリー・シリーズ’の後の新作にケチをつけポールに原稿を燃やせと脅すし、シリーズの最後の巻で死んでしまうミザリーを復活させるため、もう一巻書かせる。そして、アニーが作家を監禁していると睨み家にやってきた地元の老保安官も銃で殺してしまう。最後のクライマックスの場面ではホラー映画並みの怖さがある。ポールは渾身の力で持ち上げたタイプライターでアニーをたたきのめす。が、簡単にはこの女はくたばらない。やっとのことでくらわした最後の一撃がとどめをさす。本当に怖い映画だった。