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Channel: いづつやの文化記号
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メトロポリタン美 VS ワシントン国立美!(34)

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 オルデンバーグの‘柔らかな配水管―赤’(1967年 ワシントンナショナルギャラリー)

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  ダミュ―スの‘金色の数字5’(1928年 メトロポリタン美)

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  ルイスの‘ベータ・カッパー’(1961年 ワシントンナショナルギャラリー)

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  トゥオンブリーの‘無題’(1970年 メトロポリタン美)

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 ロングの‘ホワイトチャペル・スレート・サークル’(1981年 ワシントンナショナルギャラリー)

カンディンスキーやモンドリアンの制作する抽象絵画に心が揺さぶられる舞
台となったのは2つの現代アートの殿堂、パリのポンピドーセンターとNY
のMoMA。もうひとつ、グッゲンハイムがあるが、ここにあるすばらしい
カンディンスキーのコレクションの全貌にお目にかかったのはNYに足を運
んだときではなく日本で開かれた名品展によるものだから、現地でたくさん
の作品と遭遇して心が踊るという経験をしたわけではない。

そして、MoMAは2013年の3度目の訪問は20年ぶりのこと、進化を続
ける近現代美術が並ぶ展示空間で味わう感覚は線や面になっておらず点のま
まだった。こういう視覚体験のグッゲンハイムやMoMAに対して、メトロポ
リタンとワシントンナショナルギャラリーは2008年以降、度々訪問し
種々多様な現代アートをみてきたので作品のひとつ々がぐんぐん体に沁み込
んでいく。まさに今アメリカ人が好きなアートを一緒に楽しんでいるという
実感が繰り返された。

スウェーデン生まれのオルデンバーグ(1929~)の‘柔らかな配水管―赤’
は日用品を布やビニールでかたどった‘ソフト・スカルプチャー’の作品。ぱっ
とみたとき象の鼻を連想した。陶芸家の河井寛次郎にも配水管を形にしたも
のがある。ダミュース(1883~1935)の‘金色の数字5’はMETに
行くたびに足がとまる絵。ロシアの人形マトリョーシカのように数字の5を
大きい順から並べて都会の工業的なイメージをつくるのがおもしろい。

抽象絵画の基本的な要素は線と曲線、色彩。純粋な色彩の表現を感じさせよ
うとするルイス(1912~1962)の‘ベータ・カッパー’は画面の大半は
空白なのに左右にちらっとみえる色のストライプが色彩の力を発揮している。
このストライプがどんどん空白の部分に侵入していく感じ。これに対し、
サイ・トゥオンブリー(1928~2011)の‘無題’は水墨画の素描のよう
な作品。遠くからみると薄の風景にみえる。イギリスのアーティスト、
リチャード・ロング(1945~)の‘ホワイトチャペル・スレート・サーク
ル’は誰にでも真似ることのできるオブジェだが、アートの世界では二番煎じ
は価値がない。ロングはあのストーンサークルに刺激されたのだろうか。


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