今年は新型コロナウイルスの感染の波が何度も来たため、美術館へ出かけたの
はわずか5回しかなかった。2年もこういう低調な展覧会鑑賞が続くと本物の
美術品のことを忘れてしまいそうになる。2年前の秋、京都や大阪まで足をの
ばし‘佐竹本三十六歌仙絵展’や‘北斎展’に心を躍らせていたとき、こんな事が
起きるとは夢にも思わなかった。
6月東博に登場した国宝‘十一面観音菩薩立像’をみれたのは幸運だった。
元々は昨年披露されるはずだったのが今年に延期された。中止の可能性もあっ
たから、開幕してからすぐ出かけた。この十一面観音に強い関心をもつように
なったのはあの白洲正子(1910~1998)が大絶賛していたから。その
影響でいつか奈良の桜井市にある聖林寺を訪ねようと思っていた。機運が盛り
上がってきたとき嬉しい情報がとびこんできた。なんと東京にお出まし頂ける
とのこと。これは有難い。だから、開幕を今か々と待っていたいた。こんな
ビッグイベントをぶち壊しそうな勢いで広まったのが新型コロナウイルス。
だが、開幕が予定よりだいぶ遅れたものの感染が弱まったスキに本物と対面で
きた。本当についていた。
聖林寺の十一面観音を目のなかに入れたので次のターゲットは2つ。ひとつは
大阪の観心寺にある‘如意輪観音坐像’。公開されるのは4月の17日と18日
の2日だけであることは知っている。あとはこの日程にあわせてどう段取りす
るかである。もうひとつは東大寺法華堂の‘執金剛神立像’、こちらの開扉は
12月16日。12月はなにかと忙しいから奈良へ行くのは簡単ではないが、
なんとかしなくてはいけない。この2つをみたら国宝の仏像の追っかけは済み
マークがつけられる。元の生活スタイルが戻ったら観たい気持ちを高ぶらせ
行動したい。