‘平治物語絵巻 三条殿夜討巻’(鎌倉時代・13世紀後半 ボストン美)
来年は日本美術関連でもバラエティに富んだ展覧会がたくさん開催される。
一番のお楽しみは東京都美で開かれる‘ボストン美展 芸術×力’。ヴァン・
ダイクの肖像画が出品されるようだから、日本画も西洋画も披露される
ラインナップになるのかもしれない。嬉しいのは2012年の‘ボストン美
日本美術の至宝’(東博)に登場した‘平治物語絵巻 三条殿夜討巻’と
‘吉備大臣入唐絵巻’がまた里帰りしてくれること。
絵巻の本で迫力満点の炎の表現として取り上げられるのは出光美が所蔵す
る‘伴大納言絵巻’。この燃えさかる炎の写実表現が鎌倉時代に引き継がれた
のが‘平治物語絵巻 三条殿夜討巻’。名画はみるたびに発見があるというが、
再会したら炎をじっくりみてみたい。ユーモラスな人物描写で楽しませて
くれるのが8世紀に遣唐使を務めた学者、吉備真備(きびのまきび)を主人
公にした‘吉備入唐絵巻’。これは‘伴大納言絵巻’とともに小浜藩の酒井家にあ
ったが、大正時代にアメリカに渡りボストン美の所蔵となった。はじめて
お目にかかったのは2010年奈良博であった‘大遣唐使展’、そして2年後
に再度対面した。
4月16日から6月12日まで東京のサントリー美と九博で‘北斎展’が開か
れる。九州は無理だが、サントリーの期待値が高い。ここでは大英博物館が
所蔵する北斎を軸に構成される。そのひとつが2017年秋、大阪のあべの
ハルカス美で多くの浮世絵ファンを集めた‘北斎展’に出品された‘流水に鴨図’。
このとき披露された大英博の北斎コレクションをもう一度日本で、今度は
東京でお見せしましょう、ということなのだろうか。そうであれば大きな楽
しみになる。