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Channel: いづつやの文化記号
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Anytime アート・パラダイス! ナポレオン像

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ダヴィッドの‘サン・ベルナール峠を越えるボナパルト’(1801年 マルメゾン城国立美)

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 グロの‘アルコレ橋上のボナパルト’(1796年 ルーヴル美)

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  ジェラールの‘皇帝ナポレオン1世’(1805年 ルーヴル美)

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 アングルの‘皇帝の王座のボナパルト’(1806年 パリ軍事博)

フランス最高の将軍と呼ばれたナポレオン・ボナパルト(1769~
1821)が描かれた絵画はたくさんある。最も有名なのがダヴィッド
(1748~1825)の‘皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠’。
ダヴィッドにはもう一枚目を見張らせるナポレオン像がある。‘サン・ベルナ
ール峠を越えるボナパルト’。この絵が飾ってるのはパリから西へクルマで
40分のマルメゾンの城にある国立美術館。イタリアへ遠征するナポレ
オンの白馬に跨ったカッコイイ姿が見事に描かれている。これから進んでい
くのはサン・ベルナール峠。大砲を運ぶ兵士たちにとってこの過酷なアルプ
ス越えは根を上げたくなる進軍だが、ナポレオンは凛とした表情で右手をあ
げ兵士たちを鼓舞している。

ダヴィッドは想像でナポレオンの美しい姿を描いたが、そのため史実とはか
け離れてしまった。当時アルプスは馬で越えるのは不可能で足腰の強いラバ
を使った。そして、黄色のマントは戦いには目立ちすぎで実際は地味な軍服
を着ていた。でも、これでは英雄ナポレオンに相応しくないから、ダヴィッ
ドはもてる技を駆使して英雄らしく演出して描いた。

ダヴィッドの弟子のグロ(1771~1835)の‘アルコレ橋上のボナパル
ト’はイタリア遠征中に全軍の先頭に立って橋を渡る若きナポレオンが画面い
っぱいに動きのあるポーズで描かれている。これは油彩エスキスで完成作は
ヴェルサイユ宮国立美にある。2つをくらべるとルーヴルにあるエスキスの
ほうが生き生きとしている感じ。

1804年12月に聖別式を終え栄光の頂点を極めたナポレオンはヨーロッ
パの最強の支配者の公式肖像を伝播するために、有名な画家たちに‘偉大な装
い’の肖像画を注文した。ジェラール(1770~1837)の‘聖別式の衣装
をつけた皇帝ナポレオン1世’は大成功をおさめ長く世に広まっていった。
皇帝の決定によりこの絵のレプリカがたくさんつくられ各在外公館に飾られた。
一方、アングル(1780~1867)の‘皇帝の玉座のナポレオン’はあまり
に革新的で儀式ばっていて威圧的なイメージが強かったので退けられた。

ナポレオンの言った言葉でMy雑記帳に書いているのがある。‘過ぎたことで心
を煩わされるな’ そして、ゲーテはナポレオンについてこう語っている。
‘ナポレオンという男は、自分とつきあっていれば絶対に損をさせないと、人に
思わせる才能がある’


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