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‘皇帝ナポレオン1世と皇后の戴冠’(1807年 ルーヴル美)
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‘サビニの女たちの略奪’(1799年 ルーヴル美)
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‘ホラティウス兄弟の誓い’(1785年 ルーヴル美)
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‘レカミエ夫人の肖像’(1800年 ルーヴル美)
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‘マラーの死’(19世紀初頭 ルーヴル美)
絵は知っているのに描いた画家の名前がしっかり頭に入ってないことがよくあ
る。19世紀フランス絵画の傑作が飾られているルーヴルの大広間の展示室で
その巨大な画面で観る者を圧倒するのが‘皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィ
ーヌの戴冠’。この絵をみれば誰だってあの英雄ナポレオンの威光が目に焼き
つけられる。でも、誰の絵だっけ?描いたのはナポレオンの首席画家となった
ダヴィッド(1748~1825)。ナポレオン自身の戴冠でもいいのに、彼
は教皇に冠を被せられるのを嫌い自分で被る。そして、妻のジョゼフィーヌの
冠を授けるところをダヴィッドに描かせた。真の権力者として自分の優位性を
明確にするためである。
新古典主義の大家、ダヴィッドの画風をひととおりつかむには時間がかかる。
ダヴィッドをルーヴル以外の美術館で見る機会はごく限られているから、ルー
ヴルを訪問する回数が増えるにつれて絵画との密着度があがってくる。はじめ
てのルーヴルではダ・ヴィンチの‘モナリザ’をみなくてはいけないので大作の
‘皇帝ナポレオン’1点で精一杯。だから、ダヴィッドにインスピレーションを
与えた古代ギリシャ・ローマの英雄たちや歴史的事件を題材にした‘サビニの
女たちの略奪’や‘ホラティウス兄弟の誓い’、‘息子の遺骸を迎えるブルータス’
などに心を奪われるのは2度目や3度目のとき。このあたりから、戦いの緊迫
感をつくりだす画面構成やカッコいいポーズをとる人物描写の斬新さなどダヴ
ィッドの並はずれた画技に目を見張らされるようになる。
‘レカミエ夫人の肖像’ははじめてお目にかかったときはそれほど感激しなか
ったが、何度もみているうちに美女の絵としては一級品だなと感じるようにな
った。この女性画は色々な絵と結びつく、たとえばマネの‘紫の花をもったベル
ト・モリゾ’とか‘温室’、マグリッドのこの絵をパロッたシュルレアリスム絵画。
夫人は自分の黒髪を自慢にしていたため、この褐色を嫌がった。ほかの画家に
描かせようとしたのでダヴィッドは肖像画の完成を拒否した。ダヴィッドは
弟子にこうもらした。‘女性はわがままだが、芸術家はもっとわがままなのだ’
‘マラーの死’はダヴィッドの盟友であったマラー(1743~1793)が
女性のシャルロット・コンデに暗殺された場面が描かれている。この絵には
ヴァージョンがいくつかあり、ベルギー王立美(ブリュッセル)でもみたこと
がある。こういう絵によって歴史的な出来事を知ることになるので絵画はメデ
ィアの役割を果たしている。