勝川春章の‘大谷広次と坂東又三郎’(1773年 日本浮世絵博)
歌川国芳の‘魚の心’(天保末期1830~44年 ベルリンアジア美)
渓斎英泉の‘江戸高輪之景’(天保前期1830~44年 江戸東博)
歌川広重の‘東海道五捨三次之内 蒲原 夜之雪’(1833~35年)
3回目の‘大浮世絵展’(3/2まで 江戸東博)もいい作品に出合いご機嫌だった。過去、北斎や写楽、国芳などの回顧展とかボストン美をはじめてとする海外の定評のある浮世絵コレクションの里帰り展などに遭遇し、浮世絵の魅力を存分に味わってきたが、今回もそうしたエポック的な鑑賞体験とかわらないすばらしい浮世絵展だった。
2/18~3/2に展示される作品に中で新規にお目にかかるものは59点。北斎や広重の定番の風景画や何度も回顧展をみた国芳の作品を除くと大半がはじめて目にするもの。海外の美術館や個人が所蔵している浮世絵にこれほど多く会える機会は滅多にないから1点々目に気合をいれてみた。
まず足が思わずとまったのが勝川春章(1726~1792)の役者絵、石の鳥居の前で道標を一緒にもっている二人の役者の姿のカッコいいこと。これを所蔵している日本浮世絵博は確か長野県にあったはず、訪問することがなかなか叶わないが、お蔭様でいい作品を何点もみせてもらった。
歌川国芳(1797~1861)の描いた戯画、‘魚の心’はこれまでみたことがある。だから、絵の前ではこれは一度みたかな、という感じだった、でもよくみると3割くらい別のヴァージョンのような気も。家に帰って図録と照らし合わせてみると、別の魚の群れ。‘魚の心’は2点あったのだ!大収穫、役者の心と顔を演じためばるちゃん、かがみだいちゃんよくぞベルリンから里帰りしてくれました。
風景画で魅せられたのが渓斎英泉(1791~1848)の名所絵シリーズの一枚‘江戸高輪之景’、富士山と帆船の取り合わせが心を揺すぶる。浮世絵風景画の前景、中景、後景を順番に見せていく描き方と昨日とりあげダイスの断崖の絵は画面の構成が似ている。
歌川広重(1797~1858)の‘蒲原 夜之雪’をみるのは久しぶり、大雪が続けて二回もあったからこの雪景色に敏感に反応した。やはりこの絵はぐっとくる。