‘吉原の花’(1793年頃 ハートフォード ワズワース・アシニアム美)
本日浮世絵に関するすごいニュースが入ってきた。喜多川歌麿(1753~1806)が晩年の寛政期に栃木で制作した肉筆画の大作が日本で見つかったという。これは大変なことになった!
その絵は‘深川の雪’、絵のサイズは縦2m、横3.5m以上。NHKの映像をみると相当大きな絵。これは‘雪月花’の三福対のひとつ。あと二つは‘品川の月’と‘吉原の花’、ともにアメリカの美術館が所蔵している。手元にある歌麿本によると、この‘深川の雪’は昭和23年(1948)東京であった展覧会にフランスから里帰りして3日間だけ展示された。そのあとはどこにいったのか行方知れず。
そんな幻の肉筆画がなんと日本にあった!古美術商が2年前深川の倉庫で発見したのだという。まったく奇跡のような話。これを昨年箱根に開館した岡田美術館が手に入れ痛んでいたところを修復していたが、それが完了したので今日お披露目となった。4/4~6/30に特別公開されるという。箱根までクルマを走らせることになりそう。
巨大な‘雪月花’の三福対は栃木の旧家善野伊兵衛家に蔵されていたが、明治の中頃、海外に流出した。歌麿の画集で色付きでみられるのは‘品川の月’と’吉原の花’だけ、歌麿狂いだからいつかこの目でという思いは強いが、これはなかなか大変。
‘品川の月’はフリーア美にある。昨年ここを訪問したとき展示されていることを念じていたが、ダメだった。フリーアの遺言で作品は門外不出になっているので、みるためにはここに足を運ばなければならない。宗達の‘松島図’同様諦めてはいないが、道は遠い。
‘吉原の花’をコレクションしているコネチカット州のハートフォードにあるワズワース・アシニアム美は2年前‘夢の美術館’で紹介した(拙ブログ12/5/25)。カラヴァッジョとダリがあり、そしてとびっきりの歌麿の肉筆画があるのだから、とても惹きつけられる。いつか訪問してみたい。
画集でみていても心がはずんでくる‘吉原の花’は1995年千葉市美が開館記念展として行った‘喜多川歌麿展’に里帰りした。ところが、当時名古屋に住んでいたのでみることが叶わなかった。それから、19年が経った。そろそろ大規模な歌麿展が開催されてもいいころ。勝手に東博がビッグな歌麿展をやってくれると妄想している。そうしたら、‘深川の雪’も‘吉原の花’も一緒にみれる。ここ数年のうちにそれが実現すると信じている。