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Channel: いづつやの文化記号
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Anytime アート・パラダイス! キルヒナー(1)

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     ‘街路’(1908年 MoMA)

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    ‘街路’(1913年 MoMA)

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  ‘ゲルダの肖像’(1914年 グッゲンハイム美)

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  ‘ライプツィヒ通りと電車’(1914年 フォルクヴァング美)

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   ‘ポツダム広場’(1914年)

ドイツ表現主義のキルヒナー(1880~1938)はピカソ(1881~
1973)やレジェ(1881~1955)らと同時代を生きた画家。名前
を知ったのは絵画とのつきあいが深まったころだが、なにぶん回顧展には
まったく縁がなく作品とお目にかかれるのは日本で散発的に開催されるドイ
ツの美術館の名品展が開催されたときくらいなもの。そのため、本物をみ
たのは20点を超えない。

一見するとムンク(1863~1944)の絵と間違えそうになるのが‘街路’。
キルヒナーはグループ‘ブリュッケ(橋)’を結成したドレスデン’にいたころ
ここで開催されたゴッホ展やムンク展やフォーヴィスム展に強い衝撃を受けた。
そのため、この絵における人物表現はムンクそっくりになっている。

ところが、1913年に描かれた同じ画題では色彩の圧の強さは変わらない
ものの、人物からは丸みが消え顔も足も手も縦に細長くなり、なにか尖った
鋭角的な形態に変装している。大都市ベルリンの活気ある光景が華美な衣裳
に身をつつんだ大勢の細長男女たちで表現されている。ドイツ人は大男大女
が多いから街路の密度は相当高くなる。

表現主義は画家の内部から湧き上がるものを画面に表現しようとするから、
どうしても表現の力強さが必要になる。すると、強烈な色彩を使ったり
空間を大胆にねじったり分断したりして激しい表現が生まれる。‘ライプツィ
ヒ通りと電車’では人々が歩いている歩道の横を走っている電車は一段低いと
ころを動いているようにみえる。そして、‘ポツダム広場’の真ん中にいる2人の
女性はダンスホールのお立ち台でポーズをとっているのかと錯覚させる。


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