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Channel: いづつやの文化記号
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Anytime アート・パラダイス! レジェ(1)

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     ‘結婚式’(1911年 ポンピドーセンター)

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     ‘青衣の女’(1912年 バーゼル美)

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     ‘形態のコントラスト’(1913年 グッゲンハイム美)

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     ‘円盤’(1918年 パリ市近美)

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     ‘都会’(1919年 MoMA)

20世紀に入ると西洋絵画の世界はいろんなスタイルの絵画が生まれてくる。
その中でインパクトの大きかったのがピカソ(1881~1973)と
ブラック(1882~1963)がはじめたキュビスム。対象をいろいろな
視点からとらえる描き方は形態の表現に革命をもたらした。対象をいったん
バラバラに解体しそのあと再構成することでつくられたフォルムは断片的な
ものとなりちょっとゴツゴツした感じになるが、その意表を突く形は新鮮な
感覚となって多くの画家たちの心を揺すぶった。

ドローネー(1885~1941)同様、ピカソと同じ年に生まれたレジェ
(1881~1955)もキュビスムから大きな影響を受けた。レジェは
初期の作品では後年に描かれた代表作の‘余暇’とは似ても似つかぬようなキュ
ビスム風抽象画に没頭していた。ポンピドーにある‘結婚式’とその翌年に描か
れた‘青衣の女’はモチーフの重層的な重なり合いをみていると相当時間を
食われる。ここでは断片的に描写された風景、人物、空間がいろんな方向か
ら構成されているため顔を横に斜めに動かしてみないと全体像がつかめない。
だから、相当厄介。でも、この密度の濃さは具象の要素がすこし描き込まれ
ていることもあり興味深く映る。

ドローネーと交流があったレジェがキュビスムとは一線を画し抽象美術に
向かっていく作品となったのが‘形態のコントラスト’の連作。チューブや円筒
のような丸みをおびた形態は画面は埋め尽くし、ゆっくり回転したりうごめ
いている感じ。ロボットのようでもありマネキン人形の頭のようにもみえる。

‘円盤’はドローネーの作品から刺激をもらったのかもしれない。ドローネーの
円盤が万華鏡や大宇宙に散らばる星々をイメージさせるのに対し、ここに描
かれた円盤は工業製品の歯車とすぐ結びつき、機械を構成する一部の部品と
なって都市における現代文明のダイナミズムを生み出す元となっているよう。
この円を少なくし縦の線や面を横に並べることにより都市の建物や造作物を
断片的にみせているのが‘都会’。これはフィラデルフィア美でも別ヴァージ
ョンをみたが、明るい色彩と奥行き感をつくる緻密な画面構成に思わず足が
とまった。


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