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Channel: いづつやの文化記号
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Anytime アート・パラダイス! クプカ(1)

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Img_20210720221501      ‘静寂の道’(1903年 プラハ国立美)

Img_0001_20210720221501      ‘馬車の窓からの眺め’(1901年 MoMA)

Img_0002_20210720221501      ‘波’(1903年 オストラヴァ絵画芸術館)

Img_0003_20210720221501     ‘馬乗りの楽しみ’(1901年 プラハ国立美)

Img_0004_20210720221501     ‘猿の王’(1900年 プラハ国立美)

画家との出会いは偶然やってくることがある。チェコのボヘミヤ生まれの
クプカ(1871~1957)は名古屋で仕事をしているとき遭遇した。
1994年、愛知県美で開催されたクプカ展にどういう力が働いて出かける
ことになったか忘れたが、この画家の名前はまったく知らなかった。入館し
て具象画をしばらく見た後、予想外の展開が待っていた。宇宙を旅している
ような抽象絵画がヴァリエーションをいろいろ変えどんどんでてくる。
抽象絵画ならカンディンスキーとモンドリアンが頭の中を占領していたが、
どっこいチェコにもすごい画家がいた。

1896年、25歳でパリに出たクプカは1910年頃までは象徴主義的な絵画を描いていた。‘静寂の道’は沢山のスフィンクスが向き合うところを対角線の構図で表現している。日本画の杉山寧の絵を思い出す。MoMAにある‘馬車の窓からの眺め’はとてもシュールでおもしろい作品。神秘的なスフィンクスがある一方、こんなちょっと思いつかない窓の絵を発想するのだから恐れ入る。

‘波’はクールベが得意とした海景画を連想させるが、荒々しい波の躍動感と岩の上にたたずむ裸婦のコントラストがすばらしい。‘馬乗りの楽しみ’は人生これ以上の楽しみはないという表情をみせる女性の顔がなかなかいい。ほかにもルーベンスの‘三美神’を意識した裸婦でも同様なおおらかな笑いがみられる。

‘猿の王(王の夫妻)’は動物園でオラウータンと対面しているよう。これほど上手に描かれた猿の絵はほかにみたことがない。子どもたちを喜ばせるため王冠を被らせているのだろう。園内をパレードすると大うけするにちがいない。


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