今日の新聞報道に宮内庁三の丸尚蔵館が所蔵する絵画(4点)と書(1点)
が国宝に指定されることが載っていた。そのなかに伊藤若冲の代表作‘動植
綵絵’が入っている。これまでこの絵は国宝と書かれてなくても国宝として
みていたので、これをビッグニュースとして喜ぶということはない。宮内
庁の人たちにこういう決断をさせた理由がどこにあるのか、クリアには伝
わってこないのが正直なところ。
皇室につたわった美術品は絵画でも工芸でもとびっきりの傑作が揃ってい
ることは美術に通じてない素人でもわかる。でも、作品が展覧会に出品さ
れたとき、説明書きに‘国宝’がないより国宝‘動植綵絵’となっているほうが、
体をしゃんとして鑑賞するかもしれない。これまでだと与謝蕪村の国宝
‘夜色楼台図’と若冲の‘動植綵絵’は一緒に並んでいると、蕪村の絵のほうが
価値が高いのかなと‘国宝’の二文字に引っ張られる美術ファンがいただろう。
これからはそういうことがなくなる。
国宝となるほかの絵は狩野永徳のあの‘唐獅子図屏風’、これも美術の教科書
に載っている‘蒙古襲来絵詞’、そして10年くらい前?修復が完了した‘春日
権現験記絵巻’。書は平安時代の小野道風の‘屏風土代’。三の丸尚蔵館ではい
ずれこれらの国宝が飾られると思うが、新型コロナの感染が怖いので当分
は東京での美術館巡りはパスのつもり。