近代日本画や洋画にくらべると室町時代以降に描かれた日本画は展覧会でみる
機会は少ない。定期的に公開されるコレクション展でお目にかかったのはごく
わずかで、だいたいはほかの美術館で開かれた展覧会で遭遇したもの。所蔵す
る作品が3点くらいあるためすぐ名前が浮かぶのが室町時代に活躍した雪村。
過去2度回顧展を体験しているが、2017年はここで開催された。‘花鳥
(竹・葡萄・芙蓉・鳥)’は雪村という画家を知るきかっけになった2002年
のとき(山口県美)展示替えで見逃した絵。リカバリーに15年かかった。
狩野山雪(1590~1651)は狩野派ではかなり後から関心が向かうよう
になった画家。美術の教科書や京都への修学旅行で狩野派がインプットされる
のは狩野永徳と狩野探幽、このほかは日本画にのめりこむようになってから
馴染みになり、腕前の具合や画風がわかってくる。山雪の実力が相当高いこと
をみせつけられたのが2013年、京博であった山楽・山雪展。‘四季耕作図
屏風’を楽しく眺めていた。
池大雅(1723~1776)の大回顧展(2018年、京博)にめぐりあっ
たのは生涯の喜び。芸大美蔵の‘富士十二景図’は一、三、五、六、八、十一、
十二月。残りの月は滴翠美にある。ちょっと保存状態が悪いが、こういう富士
の連作は価値がある。これは妻玉瀾のために描いたもの。
奇才、曽我蕭白(1730~1781)の‘柳下鬼女図屏風’にはドキッとさせ
られる。あまりに顔が崩れているのでな長くは見れない。どうでもいいこと
だが、この鬼女をみるたびに映画‘砂の器’で和賀英良に殺された三木巡査がで
てくる。谷文晁(1763~1840)の‘夏谿新晴図’は大雅ほど丸みはない
が南画的な山水に描かれている。