‘ロッキー山脈、ランダーズ・ピーク’(1863年 メトロポリタン美)
‘マーセド川、ヨセミテ渓谷’(1866年 メトロポリタン美)
メトロポリタンでチャーチより4歳年下のビーアスタット(1830~
1902)の描いた‘ロッキー山脈、ランダーズ・ピーク’をみたときも絵の大
きさに圧倒された。チャーチの‘アンデスの山奥’よりもさらに大きく縦
1.85m、横3.07mの超ワイドスクリーン。ビーアスタットが得意とし
たのはアメリカ西部の情景。ここでは平和なインディアン居住地の様子が描か
れている。目を見張らせるのは背後に見える雄大な山々。一部頂に雪をかぶり
切り立つようにそびえる山が目に焼きつく。
この絵をみた5年後、まったく情報のなかったワシントンのコーコラン・ギャ
ラリーで想定外のハドソンリバー派が姿を現してくれた。コールもチャーチも
ビーアスタットも揃っている。目の前の道にお宝が落ちているような感じだっ
た。ビーアスタットはむくむくと沸き立つ雲のなかに白い山が美しく映える
‘コーコラン山’に大変魅了された。
ここ1年、BSシネマでジョン・ウェインが主演する西部劇を楽しくみている。
でも、アメリカに住んだことがないので拳銃使いの達人が大勢の男たちをやっ
つけた‘西部’という舞台がどのあたりをさすのかいまいちピンとこない。そこで
物語にでてくるテキサス州やコロラド州の町がどこにあり、‘赤い河’のリオ・
グランデ川がどのあたりを流れているのかをネットで調べてだいたいの位置
関係をつかむようにしている。
西部劇とは直接むすびつかないヨセミテ渓谷があるところは今では頭にアバウ
ト入っている。今年の春訪問する予定だったがコロナ感染の影響でいったん
ゼロになった。メトロポリタンにある‘マーセド川、ヨセミテ渓谷’やボストン美
でみた‘ヨセミテ渓谷’に描かれた場所がいずれの日かに再挑戦するヨセミテ観光
に含まれていれば嬉しいのだが、果たして。
ハドソンリバー派は滝の光景を描くことが多い。ビーアスタットにも‘滝の景観’
がある。これは2016年、マドリードのティッセン・ボルネミッサ美に飾って
あった。ここは2度目の訪問だったのでハドソンリバー派のコレクションにも
目がとまった。また、ちょうど1年前の2015年、ボストン美でビーアスタッ
トは‘バッファローの移動’など3点と遭遇していたのでこの滝にも敏感に反応
した。