日本の美術館のなかには海外の有名な画家や作家の作品をごそっともってい
る美術館がある。思いつくままあげてみると、出光美とパナソニック汐留美
のルオー、北澤美のガレ、岐阜県美のルドン、諸橋美のダリ、川村記念美の
ロスコ、そして静岡県の長泉町(三島市の北)にもベルナール・ビュフェ美
がある。こうしたコレクター物語をまとめると一冊の本になる。
ベルナール・ビュフェ(1928~1999)という画家を知ったのは21
世紀になってから。だから、つきあいは短いが相性はどういうわけは良くこ
れまで何回も回顧展に遭遇し作品の数が増えていった。きっかけはホテル
ニューオータニのなかにある美術館(今はない)でみた絵。ドン・キホ
ーテが絵画化されていたり、二羽の鶴の絵もあったりして強いインパクトを
感じた。
このあと損保ジャパン美やそごう美、目黒区美でベルナールビュフェ美蔵の
作品を軸に構成された回顧展をみた。昨年の夏、この気になるビュフェの絵
を銀座のギャルリーためながが披露するという情報が入ってきたので出かけ
た。大谷コレクション同様、この画廊のオーナーもビュフェのコレクターだ
った。
1973年に開館したベルナール・ビュフェ美は2000点くらい所蔵して
いる。ひとりのコレクターがフランスの有名な画家の絵がこれほどたくさん
蒐集するというのは本当にスゴイこと。ビュフェの作品は3つくらいに分け
られる。‘アトリエ’のようにペタッとして平面的に表現された部屋とそこに
いる人物を描いたもの、‘ピエロ’などサーカスをテーマにしたもの、そして
200%嵌っている風景画。
人物描写は妻のアナベルや小さい子どもたちはきりっとした表情で写実的に
描かれているが、‘狂女’のような場合は痩せた体で道化師に同化させている。
晩年になるとパーキンソン病の影響で死の影が忍び寄り骸骨が登場してくる。
ビュフェの描く風景画に魅了され続けており、広々とした光景の‘コンコルド
広場’や‘フィレンツェ ポンテ・ヴェッキオ’が目に焼きついている。はかに
もパリのサクレ・クール寺院、ヴェニス、NYのマンハッタンなどが忘れら
れない。