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Channel: いづつやの文化記号
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美術館に乾杯! 三重県立美術館 その一

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   曽我蕭白の‘林和靖図屏風’(1760年)

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   曽我蕭白の‘波濤群禽図襖’(重文 1760年)

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   宇田荻邨の‘祇園の雨’(1953年)

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   横山操の‘富士雷鳴’(1961年)

名古屋に住んでいた頃は東名阪道や伊勢自動車道はよく走ったが、今はまた
伊勢神宮へ出かけようということにはならない。でも、三重県は食べる楽し
みがたくさんあることはわかっている。食べ応えのある桑名の大きな蛤、
松坂牛、伊勢神宮の定番土産、赤福、そして的矢牡蠣。なにかきっかけがあ
ると心がむかうのだが。

曽我蕭白(1730~1781)は29,30歳ごろ伊勢で活動していたこ
ともあり伊勢地方には蕭白の作品が数多く存在する。だから、蕭白に最接近
するためには三重県美は重要な美術館。これまで回顧展でお目にかかったの
は14点、全部で20点くらいもっているかもしれない。

出品回数が多いのは北宋の隠遁詩人、林和靖を描いた屏風。背景の巨大な梅
が左右にうねっていることが林和靖に緊張感に与え顔の表情は陰気くさく
不気味な印象が残る。隣にいる二人の童子は怖がっているようにみえる。
あまりみない画題にとりくんだのは‘波濤群禽図襖’。波が高く舞い上がり渦巻
きがいっぱい発生している横で鶴が呼応するように体をかがめ赤い頭を上下
に動かしている。

京都を本拠地をして画業に励んだ宇田荻邨(うだてきそん 1896~
1980)は松坂の出身。絵のタイトルからして惹かれる‘祇園の雨’は
1989年にあった‘昭和の日本画100選’に選出された作品。京都観光はす
こし動き出したようだが、祇園に人が集まるのはだいぶ先になりそう。

横山大観と同じく横山操(1920~1973)も富士山に強く向かい合っ
たが、できあがった富士の風景は激しく前衛的。天から轟く雷鳴は帯となっ
た黄金の鋭い光線として表現されている。こんな富士を描いた画家はほかに
いない。  


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