京都へ観光でいくときは東寺とか金閣寺といった人気のお寺めぐりがお楽し
みの中心となるが、展覧会をみるためだと足は京博や京近美などの美術館へ
向かう。もうひとつ美術品をもとめて足を運ぶところがある。それは個人
コレクターが蒐集した絵や古美術、茶道具を公開している小規模の美術館。
北村美術館もそのひとつ。
ここの所蔵品で最初におぼえたのが野々村仁清の‘色絵鱗波文茶碗’。華やか
な京焼や琳派の絵画に魅了され続けているので、モダンな意匠にハッとさせ
られるこの色絵茶碗には200%のめりこんだ。そして、いつか北村美へ出
向こうと思った。2017年の秋にその思いが実現した。場所は同志社大か
ら歩いて15分くらいのところ。昔、この大学の近くに住んだことがある
から、迷うこともなく入口にたどり着いた。
昨年の秋は京博の‘佐竹本三十六歌仙絵’に大変熱くなった。31点集結した
歌仙絵のなかに北村美蔵の‘藤原仲文’も入っている。これまで縁がなかった
から興味津々。美術鑑賞はこういう瞬間が一番楽しい。明時代につくられた
‘古染付高砂花入’も一緒に披露されている。情報はないのだが、こういう展示
を年に一度くらい企画展として行っているのだろうか。それとも、佐竹本の
公開は数年に一度?
利休が切腹する前につくったという茶杓‘銘泪’(徳川美)をみたことがあるが、
ここにも自ら削った‘タヽイへ様参’がある。千利休作と記されていると小刀を
動かす姿を想像してしまう。