昨年秋、三井記念美で‘高麗茶碗展’があり茶の湯の名碗が目を楽しませてくれ
たが、時をあけずまたいいやきもの展に遭遇した。今月の20日まで銀座
松屋で開かれている‘利休のかたち’。利休の好みを反映した茶道具が並んでい
る。松屋が企画するやきもの展はいつも期待を裏切らない。だから、好感度
は二重丸が続いている。
日本文化のなかで脈々とその伝統を伝えている茶道。そのど真ん中にいる
のが千利休(1522~1591)。大規模な茶の湯展が2017年に東博
であり、名品がたくさんでてきた出。今回の‘利休のかたち’はそのときのデジ
ャブがおこっている感じ。長次郎(?~1589)の初期の作品‘赤楽茶碗
銘白鷺’とまたお目にかかった。光悦のシャキッとした赤楽とちがい素朴な
景色が心を打つ。
高麗茶碗の‘本手 利休斗々屋茶碗’は収穫の一品。これは三井記念美では展示
がなかったもの。想定外のリカバリーとなった。斗々屋茶碗のなかでは丸みの
ある形は珍しく柔らかいイメージがわくため思わず手にとってみたくなる。
究極の丸みを感じさせる‘湯の釜’もハッとさせる釉薬の流れが印象深い‘瀬戸
雁口花入’も茶の湯展にかざられていたもの。こういうのはみるたびに足がと
まる。釜はほかにも阿弥陀堂釜や尻張釜があり目を釘づけにさせる。