今月のはじめころ新聞の広告欄に載った銀座のギャルリーためながで行なわ
れている‘ベルナール・ビュッフェ展’(7/10~8/31)が目にとまった。
これまでビュッフェ(1928~1999)の個展は何度か足を運んだ。
その最後が2010年目黒区美であったもの。久しぶりなので銀座に寄り道
することにした。
とはいえ、ギャルリーためなががどこにあるのか知らない。案内には地下鉄
銀座線の銀座駅のB9出口から数分で着くとあるが、これでは右に行けばい
いのか左にいけばいいのかわからないので日動画廊の人に教えてもらった。
旧ソニービルの前の歩道を新橋に向かって進み二つ目の交差点を左に曲がる
とすぐみつかった。
このギャラリーの名前を覚えたのは目黒区美に出品された2点の大きな絵に
遭遇したから。日本でみられるビュッフェはてっきり静岡県の長泉町にある
ビュッフェ美に集中していると思っていた。ところが、ほかのコレクターも
こんないいビュッフェの作品を所蔵していることがわかった。コレクターの
世界は広い。最近では5月東京都庭園美でみたキスリング展にためながから
6点出品されていた。これまたビックリ。一体このコレクターは西洋絵画
をどれくらいもっているのだろうか。
今回のビュッフェ展はギャルリーためながの開廊50周年を記念するもの
(無料)。全部で40点くらいでている。以前見た‘サーカス’と‘赤い鳥’と
再会するかなと期待したが、それはなくはじめてお目にかかるものばかりだ
った。ビュッフェというとすぐイメージするのが‘青いバックの静物’のよう
な手前に滑り落ちてきそうなテーブルや不安定に傾いた部屋の板の床。
人物画は愛する妻アナベルの肖像がとてもいい。また、ルオーと同様、サー
カスの芸人やピエロにもつい感情移入してしまう。サプライズの絵は浮世絵
風の隈取した歌舞伎役者。上手い!日本には7回も来ているから日本の伝統
文化に愛着があるのかもしれない。
ビュッフェの絵のなかでもっとも魅了されているのは風景画。描かれたフラ
ンスの名所やヨーロッパ各地の人気のスポットなどをながめていると過去の
楽しい思い出がわきあがってくる。安心してみられる風景画は一服の清涼剤
みたいなもの。‘サンジェルマン・ロクセロワ教会’とお馴染みの‘サクレクー
ル’は大きな収穫。これからこの画廊とは縁がありそう。