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Channel: いづつやの文化記号
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美術館に乾杯! ひろしま美術館 その四

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   ルノワールの‘トリニテ広場、パリ’(1893年)

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    岡鹿之助の‘積雪’(1935年)

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   横山大観の‘春光る(樹海)’(1946年)

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   奥田元宋の‘雪晨’(1950年)

画家の回顧展へ出かける回数が増えてくると、その画家にふだん抱くイメー
ジとは違った作品と遭遇することがある。女性の絵を描かせたら天下一品の
腕前を披露したルノワール(1841~1919)には風景画や静物画も
ある。でも、心を惹きつけてやまないのは女性画。そのため、ルノワールの
風景画はちょっと軽く見てしまうところがある。そうした気持ちで‘トリニテ
広場、パリ’の前に立つと面食らう。これ、構図がいいじゃない!パリの感じ
がよくでているよ、と感心させられる。これはルノワールが堂々たる巨匠の
地位を獲得した頃の作品。またパリの風景を描いてみたくなったのかもしれ
ない。

洋画家のなかでは好きな人が多い岡鹿之助(1898~1978)。日本画
の東山魁夷のように別格的な存在というイメージをもっている。とにかく
手抜きがないので、画面のどこをとっても密度が高く完璧な作品に仕上がっ
ている。これにいつも驚く。新印象派のスーラの点描画をみるときの感情と
よく似ている。‘積雪’は人の姿はなく音が消えた感じ。雪の積もった日の光景
にピッタリ。

ひろしま美術館は西洋絵画を売りとする美術館だが、日本画もある。どのく
らいの数を所蔵しているのか知らないが、みたことのあるのは横山大観
(1868~1958)の富士山をモチーフにした‘春光る(樹海)’と広島県
出身の奥田元宋(1911~2003)の‘雪晨’。普段は展示されたないから、
回顧展のとき運良くめぐりあったのは優しいミューズのお計らいだったのだ
ろう。


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