昨年5月、デンマークの首都コペンハーゲンをはじめて訪問し自由行動の時
間を美術館巡りにあてた。一番のお目当てはゴーギャンのコレクションが
充実しているニューカールスベア美。念願の‘花をもつ女’と対面するとテンシ
ョンが一気に上がり、そのあとは高揚感が持続したままだった。こういうと
きはほかの画家の作品も輝いてみえてくる。
そのなかにマネがあった。ひとつは必見リストに載せていた‘アブサンを飲む
男’、もう1点オマケがありいい感じの夫人の肖像も現れた。ルノワール同様、
あらためてマネの女性の肖像画をみる楽しさを実感した。では、日本の美術
館にマネの女性画がどのくらいあるのか。その数のカウントはあまり狂って
いないと思うが5点。その一枚がひろしま美にある‘灰色の羽根帽子の婦人’。
フランス人形のような雰囲気を持つ女性なのでついみつめてしまう。
ドガ(1834~1917)の‘浴槽の女’はオルセーやアメリカ東海岸のヒル
ステッド美が所蔵する絵とよくまちがえることがある。いずれも女性は顔を
みせてくれない。まだ縁のないヒルステッドの絵に強い関心をもっているが、
これを追っかけるのは段取りが大変。だから、同じような2点をみたので
よしとしている。
庭園美で4~7月までキスリング(1891~1953)の回顧展が行われ
た。12年前横浜そごうでたくさんみたので今回はいいかなとも思ったが、
勝手に足が美術館に向かっていた。プラスαの作品が予想以上に多かったので
収穫は多かった。今回は日本の美術館からもかなりの出品があり、ここの
‘ルーマニアの女’も登場した。久しぶりの対面だったので長くみていた。
キスリングとくればモディリアーニもみれるのかい、となるが、ご安心を。
しっかりコレクションされている。男性もうりざね顔で描かれた‘ある男の
肖像’、目にはやはり瞳がない。2008年名古屋市美で開催されたモディリ
アーニ展に展示された。これは過去に開かれた回顧展ではもっともよかった
ものだが、この絵も欠かせないワンピースとして存在感を発揮していた。