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ベルナールの‘愛の森のマドレーヌ’(1888年)
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ベルナールの‘日傘をもつブルターニュの女たち’(1892年)
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セリュジエの‘護符’(1888年)
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ラコンブの‘紫の波’(1896年)
世界の美術館をめぐり旅が一通り終わったら、次の夢は画家がでかけた土地
をみてみること。例えば、モネがよく描いたノルマンディの海岸にある奇岩
で有名なエトルタとか。また、ゴーギャン(1848~1903)がタヒチ
へ移住する前に滞在していたブルターニュ地方のポン=タヴァンなんかにも
関心がある。
人気の観光地、モン・サン=ミシェルは2008年に行った。ポン=タヴァ
ンはここからさらに西へ向かい大西洋につきでた駱駝の頭のようなところに
ある。ゴーギャンはここで20歳年下のベルナール(1868~1941)ら
と総合主義という新しい絵画のスタイルを生み出す。オルセーではこのポン
=タヴァン派を楽しむことができる。
そのなかで印象深いのはベルナールの‘愛の森のマドレーヌ’。森の中で真横
になって座っているのは画家の妹で頭と足の横にはいくらも隙間がないほど
画面ぎりぎりに描かれている。これほどぎりぎりに描かなくてもと思う一方
で、仮にもうすこし余裕があったらかえってインパクトが弱まるかもしれな
いと想像したりする。一見すると平坦な描写だが木々の垂直の線と人物の横
の線が上手い具合に融合しており奥行きは十分に感じられる。ゴーギャンの
絵もこんな描き方が多い。
‘日傘をもつブルターニュの女たち’は手前に座っている女だけをみると平板さ
が極端に目立つが、目が慣れたところでその後ろの光景をじっとみていると
だんだん画面がふくらみを持ってくる。不思議な絵である。小学校低学年の
子どもならすぐコピーできそう。
ゴーギャンとベルナールに刺激を受けたセリュジエ(1864~1927)
の‘護符(タリスマン)、愛の森を流れるアヴェン川’はとても小さな作品
(縦27cm、横21cm)。そのため、ぼやっとしていると見逃す。でも、
抽象絵画を連想させる自由な色使いが強い磁力を発しているので思わず足が
とまるかもしれない。カンディンスキーがこの絵をみたら裸足で逃げるの
ではないか。
ラコンブ(1868~1916)の‘紫の波’は2014年の展覧会にやって
来た。紫はゴーギャンが多用した色だが、ラコンブは大胆にも波全体を紫で
表現している。紫によって波の曲線は装飾性が強くなり幻想的な雰囲気が醸
し出される。紫にはいつも心が痺れるので長くみていた。