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美術館に乾杯! オルセー美 その十四

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   セザンヌの‘女とコーヒーポット’(1895年)

 

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   セザンヌの‘カード遊びの人たち’(1892~96年)

 

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    セザンヌの‘水浴の男たち’(1890年)

 

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   セザンヌの‘りんごとオレンジ’(1899年)

 

ここ数年、セザンヌ(1839~1906)との相性がとてもいい。
2015年2度目のフィラデルフィア美で念願の‘大水浴’に遭遇できセザンヌ
の追っかけにひとまず済みマークをつけた。あとは未見の作品との出会いを
ぼちぼち楽しむというスタンスになったが、嬉しいことにプラスαの名画が
ひょいひょい姿を現してくれる。

2016年にはデトロイト美蔵の‘セザンヌ夫人像’、そして昨年はセザンヌ
が大賑わい、‘赤いチョッキの少年’(ビュールレ・コレクション)、‘レ・ロ
ーヴからみたサント=ヴィクトワール’(プーシキン美)、そしてオスロ
国立美で再会した‘テーブルの上のミルク差しと果物’。
今年もこのいい流れが続く。秋の‘コートールド美展’(9/10~12/15、
東京都美)に‘カード遊びをする人たち’と‘大きな松のあるサント=ヴィクト
ワール山’が登場する。

セザンヌの楽しみ方はいろいろある。人物画に風景画に静物画。オルセー
には各分野の傑作がしっかり揃っている。人物画で印象深いのはおばさんの
存在感が際立つ‘女とコーヒーポット’。風景画については緑で埋め尽くされ
た‘マンシーの橋’や‘首吊りの家’が忘れられないが、ここでは残念なことに
サント=ヴィクトワール山の絵はみられない。

でも、それにかわりとびっきりいい風俗画‘カード遊びをする人たち’がある
ので溜飲が下がる。このカード遊びシリーズはメトロポリタンとバーンズ
・コレクションが所蔵する見物人が多くいるものにも心を奪われている。
農民たちが静かにカードに興じている様子がとてもいい。美術本でみて
対面を夢見ていたが、それが実現したときはちょっと興奮した。

同じくセザンヌの代名詞にもなっている静物画の傑作‘りんごとオレンジ’の
前に立ったときも体が震えた。それ以来この絵はMy‘好きな静物画’の1位を
キープしている。白い布がかけられたテーブルから落ちるかとおもわせる
不安定さを含んだ配置が果物に新鮮さとライブ感を与えている。こんな動
きのある静物画はほかにない。これをみるたびにセザンヌに乾杯!と叫ん
でしまう。

フィラデルフィアの‘大水浴’をみたあとで一連の水浴シリーズを総括すると、
‘水浴の男たち’はバーンズコレクションやロンドンのナショナルギャラリー
蔵の‘大水浴’よりもいいなというのは正直なところ。バーンズからは‘お前は
みる眼がないな’と叱られそうだが、‘水浴の男たち’の女性にはない元気さが
強く心に刻まれている。


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