ガッラ・プラチデイアの霊廟のモザイク装飾‘良き羊飼い’(5世紀)
フィレンツェとヴェネツィアを直線で結んだ真ん中あたりに位置するラヴェ
ンナを訪問したのは2010年。お楽しみはなんといっても聖堂や霊廟内の
モザイク装飾、クリムトはここの金のモザイクに感動して黄金装飾にのめり
こんだことがインプットされているので期待で胸が膨らむ。
美術本に載っているサン・ヴィターレ聖堂の有名なビザンチン様式のモザイ
クの前に古典的なモザイクがみられるガッラ・プラチディア霊廟(同じ敷地
内)もみることになっている。この前菜がまた美しい!入口の扉の上に描か
れた‘良き羊飼い’の光輪、衣服、十字架の金が輝いている。さらに目がくら
むのがクーポラに描かれた空にちりばめられた星と金の十字架、四隅の聖ヨ
ハネの鷹や聖ルカの牛にも釘づけになる。
この霊廟が建てられたのはラヴェンナが西ローマ帝国の首都だった430年
頃。このより写実的なモザイクで目を馴らした後メインディッシュのある
サン・ヴィターレ聖堂に移動した。6世紀半ばにビザンチン帝国の総督府が
この町に置かれ、聖堂は548年に完成した。なかに入ると内陣、後陣の
すばらしいモザイク装飾が待ち受けていた。モザイクのいいところは色が
褪色しないこと。だから、横に人物が並び平板な印象を与える‘ユスティ二
アヌス帝’と‘テオドラ妃と従者たち’の鮮やかな金、緑、緋色、白がどーんと
目に跳びこんでくる。これをみたのは一生の思い出。
イスタンブールのアヤ・ソフィアとラヴェンナのモザイクをみたので、次の
ターゲットはシチリア島にあるモンレアーレ大聖堂の‘万能の統治者キリスト、聖母子と聖人たち’(1190年)。まだまだ追っかけはやめられない。