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Channel: いづつやの文化記号
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池大雅の‘富士十二景図’!

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   池大雅の‘富士十二景図 九月緑陰雑紅’(18世紀)

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      ‘富士十二景図 五月田植え’(18世紀)

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     黒田清輝の‘婦人像(厨房)’(1892年)

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     中村岳陵の‘仏誕’(1912年)

長らくご無沙汰していた‘藝大コレクション展’(第1期4/6~5/6)
を滑り込みセーフでみてきた。どうしても連休中に行く必要があったのは、
これもみどりがめさんからの情報で池大雅(1723~1776)の‘富士
十二景図’が12幅全部展示(1期のみ)されているため。

じつはこの絵は昨年春、京博で開催された池大雅展でみたが、‘九月’が欠け
飾られていたのは11幅。その行方不明だった‘九月’がその後偶然発見され
て藝大コレクションに加わった。芸大はこれで12幅のうち8幅所蔵。で、
滴翠美蔵の4点にもきてもらい嬉しい全点展示となった。

‘九月 緑陰雑紅’は修復されたためほかの月にみられる雨だれを思わせるに
じみが消えている。そのため、下の鮮やかな紅葉の印象を強く残しながら
だんだんと視線を上にあげていき雄大な富士山にいたるという構図にうっ
とりしてしまう。大雅らしいすばらしい風景画。ちなみに‘五月’は田植えの
光景、ここでも北斎の蛤同様、田植えをする農夫たちの衣服が白の胡粉を
使って描かれている。

このコレクション展は1期(4/6~5/6)と2期(5/14~6/16)で
作品が全部入れ替わる。その出品作の概要が記された小冊子(無料)をみ
ると、2期には松岡映丘の‘伊香保の沼’や山口蓬春の‘市場’などが登場するよ
うだ。そして1期にでている洋画などは通期展示なので2期でもみられる。

池大雅に心を奪われたあとほかの絵もぐるっとみたが、ぐっときたのは
最初に飾ってある黒田清輝(1866~1924)の‘婦人像(厨房)’、い
つも感心させられるのは本場フランスの画家にも決して負けてない筆使い。
名前を隠してヨーロッパ人にみせたら皆フランス人の作品だというにちがい
ない。東博にある‘読書’とともに一級の油絵である。

中村岳陵(1890~1924)の‘仏誕’をみるのは2度目。これまでコレ
クション展でこの大作には遭遇しなかった。岳陵は若い頃、こうした仏教画
や源氏絵巻図風の絵を描いていた。その後、スッキリしたモダンな作品に
作風を変えていくが、才能がありすぎるのでなんでも描けてしまう。


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