イタリアのミラノは2度訪れた。はじめてのときは美術への関心度は人並み
だったのでダ・ヴィンチ(1452~1519)の‘最後の晩餐’をみただけ
で心が満腹状態。この絵よりもっと感動したのは街のシンボルであるミラノ
大聖堂、たくさんの細い槍が天に向かって伸びているという奇抜なフォルム
が胸に強く突き刺さった。
2006年にまたでかけたときは自由行動の時間を使って以前紹介したブレ
ラ美とアンブロジアーナ美を大急ぎで回った。中心部にあるアンブロジア
―ナ美で許された時間はわずか30分。展示室を駆け抜けてお目当ての絵を
みた。
ここのお宝はカラヴァッジョ(1571~1610)の静物画‘果物籠’、
小品だが果物のもつリアルな質感が抜群の描写力でとらえられている。目が
点になったのは梨と緑の葉についている水滴の表現、飛び散っている感じが
スゴイ。また、籠の網目の精緻な描写にも目が釘づけになった。この絵は
2010年ローマで開催されたカラヴァッジョ展にも出品された。2度も
みれたのは生涯の思い出。
ほかの作品で突進したのはダ・ヴィンチの‘若い音楽家の肖像’、ボッティチ
ェリ(1445~1510)の‘天蓋の聖母’、そして専用の部屋に飾られて
いるラファエロ(1483~1520)の‘アテネの学堂のためのカルトン
(下絵)’。慌ただしい鑑賞になったが必見リストに載せていた作品に会え
たので安堵の気分で館をあとした。