ポッライウオーロの‘ヘラクレスとアンタイオス’(1478年)
フィレンツェで一番の観光スポットは大聖堂。中に入ったり、ドームの上
まで昇ったりしているとフィレンツェにやって来た!という実感がだん
だん湧いてくる。
大聖堂の前にあるサン・ジョヴァンニ洗礼堂にも多くの人が集まっている
が、誰もが熱心にみているのはギベルティ(1378~1455)が門扉
のためにつくった黄金のブロンズレリーフ‘天国の門’(コピー)、これを
みるとギベルティの彫刻家として腕前は半端ではないことがわかる。
バルジェッロには門扉のコンペで一等賞をとったギベルティとブルネッ
レスキの‘イサクの犠牲’が並んで飾ってある。でも共同制作をブルネッレ
スキが嫌ったため、ギベルティが制作者になった。二つを較べるとアブラ
ハムが息子のイサクを殺めるところを止める天使の処理がすっきりして
いるギベルティのほうに軍配を上げたくなる。
ギベルティに師事したドナテッロ(1386~1466)も圧巻の作品
が並ぶ。もっともカッコいいのが‘ダヴィデ’、これは初の裸体表現のブロン
ズ像。美少年が体をS字カーブにして立つ姿に見惚れてしまう。
正面をじっとみつめる‘聖ゲオルギオス’も傑作、ほかにも‘洗礼者ヨハネ’や
ライオン像など足がとまるものが6点。ドナテッロがこれほど多くみれた
のは大きな収穫。
暴力的なイメージがつきまとうポッライウオーロ(1431~1498)
の‘ヘラクレスとアンタイオス’はまさに死闘。巨人アンタイオスをやっつ
けるには宙に持ち上げて思いっきり腰を締め上げること。地面にたたき
つけるとアンタイオスは大地から力をもらい逆襲してくるのを避けたの
である。