コンビニの24時間営業をめぐる議論が活発になってきた。散歩の途中で目にするわが家の近くのコンビニは今のところどこも24時間営業のままなので、この営業体制が変わって店舗が深夜から7時くらいまでは閉まっているという光景が当たり前になるのはまだまだ先のような気がする。
ただ、コンビニのある場所に大きな差があるので人口が多い都会と地方の普通の街とではその進捗状況は違いがでてくる。アルバイトの確保がだんだん厳しくなる状況ではお客が少なくなる深夜に店をあけておくメリットをみいだせないのは当事者でなくてもすぐわかる。
そして、昔は夜遅くまでコンビニにいた若年層は今はどんどん細っている。昼間利用する機会が増えてきたシニア世代はとっくに床についている。こういう現象が地方の実態。もう、24時間営業を前提にしたビジネスモデルは破綻しているのだから頭を切り替えて、早く普通の店の形態にした方が競争に勝ち残れる。
この24時間営業の話は従業員の働き方と深く係わっている。日本で顧客満足度調査は商品・サービスに対するユーザーの評価を知る上で大事な手法として定着しているが、この調査の本家のアメリカでは顧客の満足度だけでなく従業員の満足度もセットで測定している。
でも、日本では従業員の満足度まで真剣に考えている会社は多くないのが現状。しかし、このところ人手不足がどの業界でも喫緊の課題になっており、働き方改革にも力を入れざるを得なくなった。では、従業員の満足が大きくなるような改革ははたして進むだろうか?過剰すぎるほどお客に配慮したりそのニーズに応えようとする日本の企業の仕事のやり方がこれを阻む一番の要因かもしれない。
そんなことを思わせる光景をヨーロッパのスーパーマーケットで買い物をすると目にする。昨年、デンマークの街でスーパーマーケットに入りお土産と食料品を購入した。レジで精算するときのやり方が日本とはまったくちがう。レジの女性は座っていて、客が購入したものを自分でひとつずつベルトレーンに置きそれをバーコードが読み取った合計の値段を告げるだけ。客は支払いをしその品物をまた手にとって袋に入れる。
日本のスーパーではかごに入った商品をすべてレジ係りが打ち込み、客はトータルの金額だけを払うだけ。つくつくお客は楽だなと思う。これは日本では当たり前の光景。だから、従業員が少しでも処理が遅かったり、ミスの打ち込みがあればすぐハードクレーマーになる。
デンマークだけではない、以前スペインのグラナダで出かけた店も同じようなシステムだった。スーパーで買い物をする人はレジ係りが楽をしているとは思わない。自分がそういう仕事についたら座ってすることを望むのだから、従業員をそんな目でみはしない。
日本人は物を買う客の意識だけでなく、それを売る立場の従業員、サービスする人たちの気持ちも一緒にもつべきである。お客ファーストはとても大事なこと、しかし働く人が疲れていては真の顧客対応は果たせない。