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Channel: いづつやの文化記号
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2016年 感動の日本美術 ベスト10!

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Img_0002        可翁の国宝‘寒山図’(14世紀 サンリツ服部美)

Img_0001     横山操の‘雪原’(1963年 佐久市立近美)

Img     鈴木其一の‘富士千鳥図’(江戸時代後期)

今年は夏場にビッグな出会いがあった。それはみどりがめさんから教えてもらった国宝の禅画、可翁の‘寒山図’。お目にかかった美術館は長野県の諏訪湖のほとりにあるサンリツ服部美、ここは本阿弥光悦の国宝‘白楽茶碗 銘 不二山’をみるため一度訪問したことがある。

この名碗をみたので二度目はないなと思っていたら、まったく想定外の展開になった。みどりがめさんから特別展‘禅宗と茶の湯の美’(7/10~9/4)に‘寒山図’が展示されるという情報を得るまでこの絵をこの美術館が所蔵していることは知らなかった。

手元にある‘週刊朝日百科 日本の国宝 個人所蔵’(1999年1月)で絵の存在はわかっていたが、サンリツ美をつくった服部一郎氏のコレクションだったということに気づかなかった。個人蔵の絵なのではなから今後も縁がないだろうと思っていた。ところが、今回はじめて公開されるという。ええー、まだ一回も展示されてないの!? この決定は今年が服部氏の没後30年にあたるので特別にお披露目しようということになったのだろう。

となると万難を排し諏訪湖まで出かけなくてはならない。はたして、幸運なめぐりあわせとなった国宝との出会いはとても感銘深いものだった。墨の濃淡がきき大変味のある人物描写が強く印象に残るいい絵だった。服部氏がだしたがらなかったのがよくわかった。

この遠出のあとまた嬉しい情報が入ってきた。長年追っかけていた横山操(1920~1973)の‘雪原’が茨城県の天心記念五浦美に登場するというのである。作品を所蔵する佐久市立近美のコレクションで構成された‘日本画、新しき風にのせて’(7/23~9/4)が開催され、横山の絵も平山郁夫の‘仏教伝来’や東山魁夷の‘萌ゆる春’などとともに日本画ファンの目を楽しませてくれた。

関心は‘雪原’一点なので大きな絵を隅から隅まで15分み続けて目に焼き付けた。鑑賞時間はわずか20分だったが、満ち足りた気分で館を後にした。そしてJR常磐線に乗り3時間かけて横浜に戻ってきた。

サントリー美へ通う回数が今年は例年に比べて多く、3回出かけた、宮川香山展(2/24~4/17)、鈴木其一展(9/10~10/30)、そして小田野直武展(11/16~1/9)。鈴木其一(1796~1858)の単独の回顧展が開かれるなんて以前ならちょっと考えられなかったが、時代が変わり、チラシには‘琳派の真打、其一登場’ときた。其一好きだから回顧展に遭遇したのは大きな喜びだが、琳派の真打なんて思うほどのぼせ上がってはいない。

収穫ははじめてお目にかかる‘富士千鳥図’、メトロポリタンからやって来た傑作‘朝顔図屏風’同様、絵の前で色彩の輝き構図のすばらしさを息を呑んでみていた。


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