ボッテイチェリの‘聖母子’(1483年 ポルデイ・ベッツオーリ美)
ボスの‘聖アントニウスの誘惑’(1485~1505年 リスボン国立美)
今年出かけた美術鑑賞の振り返りはいつもの展覧会のお好みだけでなく、はじめてお目にかかったもので即Myアートの殿堂に登録した作品も選んでみた。ベスト10を遭遇した順番にそって3回にわけて紹介したい。
東京都美の‘ボッティチェリ展’(1/16~4/3)は日本で開催されたルネサンス関連の展覧会では一番よかったのではないかと思われるほどいい絵が揃った。そのなかで群を抜いて輝いていたのがミラノのポルデイ・ベッツオーリ美からやって来た‘聖母子(書物の聖母)’。
画集で絵の存在は知っていたが、本物がこれほどすばらしいものだったとは!一瞬ウフィッツイ美の展示室にいるような錯覚を覚えた。まさに‘マグニフィカトの聖母’クラスの傑作でボッティチェリのベスト5入りは間違いないところ。
‘カラヴァッジョ展’(3/1~6/12 西洋美)の目玉のひとつ‘法悦のマグダラのマリア’にも200%KOされた。この絵が日本で最初に公開されたというのもスゴイこと。イタリアに数多くいるカラヴァッジョファンは心穏やかではなく、‘イタリアで披露するのが先だろう’と思ったにちがいない。回顧展には3回足を運んだのでこの絵もとことんみた。忘れられない一枚になりそう。
マドリードのプラド美で行われた‘ボス展’(5/31~9/25)で最もみたかったのが‘聖アントニウスの誘惑’。この絵をみるためにポルトガル旅行をもう一度しようと計画していたが、その必要がなくなった。ずいぶん昔ウイーンのアカデミー美でこの絵の模写と遭遇したので、長年これでみたことにするかと納得させてきたが、本物との対面が叶って天にも昇る気持ちだった。