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Channel: いづつやの文化記号
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待望の‘小田野直武と秋田蘭画’!

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Img          佐竹曙山の‘松に唐鳥図’(重文 18世紀)

Img_0001     小田野直武の‘不忍池図’(重文 18世紀)

Img_0002          佐竹曙山の‘蝦蟇仙人図’(18世紀)

Img_0003     司馬江漢の‘江ノ島稚児淵眺望’(19世紀 仙台市博)

サントリー美の今年の企画展で最も期待していたのは‘小田野直武と秋田蘭画’(11/16~1/9)、このなかにずっと追いかけていた作品がでている。それは前期(11/16~12/12)だけしか展示されない‘松の唐鳥図’、描いたのは秋田藩のお殿様、佐竹曙山(さたけしょざん 1748~1785))。

西洋画の陰影法や遠近法を取り入れて描いた風景画や花鳥画、いわゆる秋田蘭画は府中市美が精力的に開催している江戸絵画シリーズにちょくちょくでてくるのでだいぶ目が慣れてきているが、こうしてまとまった形でみるのははじめて。

この絵で目を惹くのはなんといっても画面を斜めにのびる大きな松の幹からでた枝にとまっている赤い鸚哥、おもしろいことに根津美の円山応挙展でも同じく松と赤の鸚哥を組み合わせた作品と出会った。赤の色の強さはともに尋常ではないが、絵全体のインパクトは曙山のものに軍配が上がる。松の力強さと極上の赤の絵の具を使って描かれた鸚哥、この構図はぐっとくる。

秋田蘭画のもうひとりの主役、小田野直武(おだのなおたけ 1749~1780)は秋田藩の藩士、代表作が‘不忍池図’(展示は前期のみ)、これは一度じっくりみているので軽くみていたが、解説のプレートに芍薬のつぼみのところに蟻がいると記されていたのですぐ単眼鏡を取り出してみた。前回は見逃したが2匹の蟻が姿を現わした。たまには説明文も読んでみるものだなと思った。横に秋田県の出身という男性がいて蟻を気にしていたので単眼鏡をわたしてあげた。

曙山の‘蝦蟇仙人図’をみるのは二度目、ここでハットすることに気づいた。なんと三足の蝦蟇と後ろの松の幹がダブルイメージになっている!松の表皮の菱形模様がそのまま蝦蟇の体のつぶつぶに連続し、よくみると蝦蟇は幹が変容した姿、これは気がつかなかった。曙山、なかなかやるじゃん、という感じ。

大きな収穫だったのが司馬江漢(1748~1818)、画集に載っていてまだお目にかかってないものが数点あった。とくに足がとまったのは‘江ノ島稚児淵眺望’、この展覧会は一回で終わりのつもりだったが後期に江漢がまた登場するのでそうもいかなくなった。


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