絵の才能があるにせよないにしろ裸婦は画家にとって一度は描いてみたくなるモチーフ、日本画家にも裸婦図が画業のなかで大事な作品になっている画家がいる。杉山寧、加山又造、そして石本正。
島根県出身の石本正(1920~2015)は昨年亡くなった。山種美には着物がはだけ豊かな胸を見せる女性を描いたものと舞妓の姿を同じように正面からみたものがあるが、ドキッとするのはやはり裸婦のほう。そしておもしろい描き方に気づく。顔と胸の形がよく似た丸になっている。
黒田辰秋(1904~1982)の回顧展を2年前、横浜そごうでみたとき心を震わせる螺鈿の傑作に出会った。この飾筐の全体に使われている青はメキシコ産鮑貝の真珠層、そして蓋の中心から放射状に配されているのは白蝶貝、螺鈿はみる角度によって光の輝きがいろいろ変化するのでつい夢中になってみてしまう。
加守田章二(1933~1983)の‘彩色壺’にはいろんなイメージが重なる。小さいころみた芋虫のゆるキャラがもそもそと歩いているところを想像したり、暖かい海の底で繁殖した藻が泡を出しながらゆらゆらしている風景にもみえる。Myカラーが緑&黄色なのでこういう作品には200%惹きこまれる。