‘スぺドス型女性像’(前29世紀~24世紀 キュクラデス博)
‘アッティカ赤像式アラバストロン’(前500~475年 アテネ考古学監督局)
現在、東博で開催中の‘古代ギリシャ展’(6/21~9/19)、だいぶ遅い出動となったがお目当ての‘漁夫のフレスコ画’をみてきた。このサントリー二島で発見された色鮮やかな壁画が日本でみられたことは大きな喜び。
アテネ五輪が行われた2004年、ギリシャを旅行しアテネにある考古学博物館にわくわくしながら入館した。ここを訪問するのは2度目だったので、一番のお目当てはサントリー二島で出土した有名な‘ボクシングをする少年’や‘漁夫’などのフレスコ壁画だった。ところが、これらが展示されている2階は改修工事のため閉鎖中、なんという巡り合わせの悪さ、どっと疲れがでた。
もう縁がないと思っていたら、なんと‘漁夫’がわざわざ日本にやって来てくれた。腹の底から嬉しくなる。3500年以上もたっているのに漁夫の体に塗られたうすい赤茶色が見事に残っている。両手にはひもでくくったたくさんの魚、これだけのか数だと重さが腕にずっしり感じられたにちがいない。本当にいい絵をみた。
キュクラデス文明の時代に大理石でつくらてた‘スぺドス型女性像’は思わずそのユニークな造形に惹きこまれる。人物のリアルさを消して生命の原型をシンプルな形にしてみせる造形は日本の土偶とも共通性がある。
以前はパルテノン神殿のあるアクロポリスの丘にあった博物館は今は街中につくられた建物に移転している。アルカイック時代の彫刻が楽しめるこの博物館で何点もお目にかかったコレー像、印象深いのは流れるような線で表現した衣紋と編んで細く束ねられた髪、そして口元がちょっと上にあがったアルカイックスマイル。ついじっと眺めてしまう。
リオ五輪を連日みていたなかでの展覧会訪問だったので、オリンピックの競技種目が描かれた陶製の器、アラバストロンには敏感に反応する。左が円盤投げで右が走り幅跳び、当時の走り幅跳びではアスリートは記録を出すため石や鉛でできた重りを持って跳んだ。これはおもしろい。