ゴーギャンの‘タヒチの3人’(1899年 スコットランド国立美)
ティツィアーノの‘ダナエ’(1546年 ナポリ カポディモンテ美)
お目当ての展覧会をみて退館するとき取り忘れないようにしているのがほかの美術館の案内チラシ、先週いくつかまわったときビッグニュースが目に入った。
来年春、国立新美で‘ミュシャ展’(3/8~6/5)が行われることは知っていたが、これまでミュシャの回顧展は皆勤しているのでパスしようと思っていた。だからチラシは要らなかったが、それでもまあみておこうかと手にしたら、サプライズの内容が載っていた。なんと、あの‘スラブ叙事詩’が20作全部日本にやって来るという!
これはスゴイことになった。ミュシャ物語はこの大作‘スラブ叙事詩’をみないと完結しないが、普通に考えればこの連作が飾ってあるチェコ南部のモラフスキー・クルムロフ城はまず縁がない。こういう場合は数点の図版をながめてよしとするのがお決まりの心のおさめかた。
みたいのにみることが叶わない、いわゆる‘幻の名画’のままで終わるところだったのに幸運なめぐりあわせで来春お目にかかれることになる。チェコ国外ではじめて公開されるのがパリでもなくロンドンでもなく東京というのだから、日本の美術シーンは本当にすこいなと思う。来年はボイマンス美のブリューゲルの‘バベルの塔’で十分だったのにミュシャの‘スラブ叙事詩’までみれる、嬉しくてたまらない。
作品情報をもうふたつ、東京都美で開催される‘ゴッホとゴーギャン展’(10/8~12/18)にスコットランド国立美にあるゴーギャンの‘タヒチの3人’が含まれていることがわかった。そして、東京都美はそのあと行う‘ティツイアーノとヴェネツィア展’(来年1/21~4/2)でもホームランを打ってくれる。いつか訪問しようと思っているナポリのカポディモンテ美が所蔵するティツイアーノの傑作‘ダナエ’もやって来る。こういう展覧会を開催してくれると東京都美に対する好感度はますます上がっていく。