オルデンスバーグの‘ソフト排水管(青ヴァージョン)’(1967年)
ウォーホル(1928~1987)というとすぐ思い浮かべるのがマリリン・モンローをモデルにしたポートレイト、いろいろなヴァージョンのなかでテイトに飾ってあるのは色つきのモンローと黒白のモンローが切手のシートのようにセットで組み合わさったもの。
普通の肖像画は同じポーズなら一枚限り、さらに依頼される場合はポーズや衣装を変えて描かれる。ところが、モンローの写真を元ネタに使って肖像画に仕立てるときは背景や顔の色などを変えると何枚でも作れる。ウォーホルに惹きつけられるのはこの色の選択の上手さ。ポップアートのパワーはこの複製のマジックによって生み出される。
リキテンスタイン(1923~1997)の回顧展に遭遇することをずっと夢見ている。これまでリキテンスタインの漫画をみたのはそれほど多くなく両手くらい。そのため、お目にかかった作品はよく覚えている。‘ワーム’は縦1.7m、横4mの大作、漫画を読む習慣がないのでこうした鑑賞体験はとても新鮮で体が軽くなる。
3年前に亡くなったケリー(1923~2015)はリキテンスタインと同じ年に生まれている。幾何学的抽象の名手でその魅力を支えているの明快な色彩。NYにいるとき描かれた‘ブロードウエイ’、タイトルは誰もが知っている街だがこのほんの少し左に傾いた赤の色面からではモンドリアンの絵のようにブロードウエイのイメージは沸いてこない。むしろ、赤を得意としたニューマンの作品がダブってくる。
日用品をびっくりするほど大きくし布やビニールでかたどった‘ソフト・スカルプチャー’で一世を風靡したオルデンスバーグ(1929~)、作品になったのはトイレ、ドラムセット、ベースボールバット、、、‘ソフト排出管’はビニールは使われていないがヴァリエーションのひとつ。排出管に掛けられているものからは象の耳、トランク、磔などが連想される。