‘オルナン近郊の針金工場’(1861年 デンマーク国立オードロップゴー美)
6月のはじめころ美術館のHPをサーフィンしていたとき、八王子にある村内美が目に入った。ここはまだ訪問したことがなく、以前からいつか出かけようと思っていた美術館。ところが、何か変化があったようで、自慢のミレーなどのコレクションを常設展示するのは6/25までと案内されていた。
そのあとは休館し、7/11からは本業の家具の展示をメインとした展示空間に変わるという。今はもう新しい展示がスタートしているが、絵画作品の展示はしないのだろうか?HPにはもうひとつ大きな出来事が書かれていた。
なんと、クールベ(1819~1877)の‘フラジェの樫の木’がクールベ生誕の地、オルナンにあるクールベ美の所蔵になったという。これを5年前、パリで開催された‘クールベ展’(グランパレ)でみたときは腰が抜けるくらい感動した。しかもこの絵を所蔵しているのは日本の村内美。この話はまったく知らなかったのでちょっと興奮した。力強く地に根を張った樫の木を見事に描いたこの傑作を村内美が手放したということは財政が相当ひっ迫しているのだろう。ネットでは4億円で売却したという話が飛び交っている。
となると、まだお目にかかってない‘ボート遊び’も怪しくなってきた。ほかにもミレーの絵をはじめ、キスリングなども処分する可能性は十分にある。最悪の事態はコレクションが消滅すること。クールベ展の図録の裏表紙に使われた樫の木の絵を売ったのだから、そこまでいくかもしれない。
樫の木の絵が里帰りしたオルナンの風景をクールベは何点も描いている。その一枚‘オルナン近郊のルー川沿いの針金工場’は10何年前開かれた‘オードロップゴー美展’でみた。クールベの大回顧展を体験し、この画家の画技の高さに200%KOされたので、オルナンを訪れるのもひとつのオプション。はたして実現するだろうか?